内容説明
美しいものが天下をとるんや―出雲の阿国にひどい仕打ちを受けながら敢然と立ち向かう、もう一人の阿国。新潮書下ろし文芸作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えも
13
出雲の阿国に憧れる旅芸人の娘、お丹が、遊女になって「佐渡島おくに」を名乗る。皆川さんらしい時代ものでした。2015/10/10
iuba
10
芸を盗み客を盗み演者を盗む、仕返しには刃傷沙汰も厭わない芸能の世界、現代に伝わる歌舞伎の祖となる形をつくった人々の話は、思ったよりもずっと泥臭い。それなのにどろどろとした淀みを感じないのが皆川さんの技術なのか、この話には色恋も怨嗟もあるのに、読後がとても爽やかだった。好きな芝居の演出家が、芝居を「神への捧げ物」と語っていたことをなんとなく思い出す。この作品もまた、神さまへ、地から天へむかって、背筋を伸ばして歩き続けた幾人もの芸事に関わる人間の姿が描かれている。2014/04/12
桃柳
2
「歌舞伎」が歌舞伎になる前。 皆川さんの作品を読むと、芸事や人の心における聖と俗、美と醜、貴と賤は表裏一体で、だからこそそれを極め尽くしていったさきには、すべてを呑み込む広がりがあるのだろうと思う。2023/06/25
Ruto
2
図書館。皆川博子作品。旅一座のお丹が阿国に拾われるが、阿国に対する複雑な感情を持ちながら成長していく。2020/04/05
eirianda
2
芸能の妖しげな魅力を巧く表現しているなぁ……。そのひと言につきる。今や伝統芸能にまでなった歌舞伎の原点の人が売色をもう一つの稼ぎとしていた、そんな当時の芸人の生々しさとアウトサイダーっぷりが、更に魅力的に思える。それを思うと今の芸能は……闇の面が無さ過ぎるな(知らないだけかもしれないが)。2013/11/15
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