出版社内容情報
明治時代、新生・大日本帝国が一等国となる道を切り開いた男の立志自立編。生後間もなく里子に出され、渡米留学するも「奴隷」になり、帰国後は「芸者のヒモ」に落ちぶれ、ペルーの鉱山開発でスッテンテンに。何度も人生のどん底を味わいながら、日露戦争の資金調達に成功して日本を救う。金融史の専門家が『自伝』で描かれたエピソードの虚実を検証し、従来の是清像を大きく塗り替える圧倒的評伝!
内容説明
「奴隷」、芸者のヒモ、相場師から日銀総裁へ。従来の是清像を塗り替える圧倒的評伝!
目次
第1部 立志篇(アメリカへ;唐津;相場師時代;特許局;アンデスの銀嶺)
第2部 自立篇(日本銀行;北からの脅威;日露開戦;外債発行;増税;講和へ;戦後処理)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
板谷さんの経済的な観点の本をいくつか読まサ得てきていただいていて今回も、高橋是清の生涯とそれに関連する経済的な論評を楽しみました。高橋是清の自伝と幸田真音さんの小説で今までにかなり事前的な知識はありました。ただ自伝や小説は読者の興味あることを中心に書かれているのですが、それを検証しているような感じです。章立てを短くして読みやすくしており上巻では日露戦争の終了までを書かれています。2024/08/04
Sam
47
名前は知っていてもその人となりはよく知らなかった高橋是清。レールに乗っかって順風満帆に出世してゆく人物などでは決してなく、酒好き女好き賭事好きでことあるごとに躓きそれでも生来の能力と人柄で難局を乗り越えていく。上巻では日銀副総裁として日露戦争の戦費調達に獅子奮迅の活躍を見せるところまでが描かれる。大部だがそれを感じさせない面白さ。2024/07/20
ジュンジュン
12
上巻は日露戦争での資金調達まで。高橋是清と言えば、高橋財政、2・26事件だと思うが、まだ政治家にもなっていないなのに既に波瀾万丈。しかもクライマックス(日露戦争時)まで用意されている!もうお腹いっぱいなのに(500p越え😫)下巻に行くしかない‼2024/05/31
しゅー
9
★★★高橋是清は好きな人物の一人だ。しかし彼についての本は経済や政治の視点からのそれが多い。人物像を描いた本と言うとフィクションもあまり思い浮かばず、自伝もたしか中途半端な時代で終わっていた。なので日経の書評で本書を見つけてうれしくなる。あとから気づいたけど『日露戦争、資金調達の戦い』の著者だった。上巻は日露戦争の戦後処理までが描かれる。明治史のおさらいにもなるし、元老クラスではなく実務家レベルでの群像劇も楽しめて期待どおりだった。色々やらかして幾度も振り出しに戻りながらも日露戦争で表舞台に躍り出る是清。2024/06/08
天切り松
4
前半はおもしろくない。だんだん面白くなるのであきらめず読んで欲しい。信用ゼロからの大借金。しかも時代は金本位制なので、金かポンドがないと始まらない。2024/08/18