出版社内容情報
天国も地獄も、すべてこの世にある。地獄に突き落とされた家族三人が辿り着く先とは。震えるほどの感動が響き渡る、圧巻の最新長編。
内容説明
小鳥店を営む檀野家の平穏な日常は、突然終わりを告げた。小学生の息子が通り魔に殺されるという凄惨な事件によって―。「息子さんのために、歌わせてください」悲しみに暮れる檀野家に、不思議な合唱隊がやってくる。訝しむ父をよそに、母と娘は歌うことで次第に心を取り戻していくが…。次々と明かされる家族の秘密。ラスト二〇ページの戦慄。そして驚くべき終曲。
著者等紹介
川村元気[カワムラゲンキ]
1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。「君の名は。」などの映画を製作。2011年、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年、初小説『世界から猫が消えたなら』を発表し、同作は21カ国で出版された。18年、初監督作品『どちらを』がカンヌ国際映画祭短編コンペティション部門に出品される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
278
あなたは神を信じますか? 私たちは神聖家族になって、亡き息子と一緒に永遠の世界で生きるのです。父、母、娘、三人の視点で描かれる、宗教への戸惑い・盲信・疑念。信じるものは救われるのか? この多面的に宗教を捉える小説に、読者はやるせない心苦しさと、そこはかとない感動を味わうのです。そして、私は、少なくとも、読書が人生の糧となることを信じたいです。2022/01/10
starbro
268
川村 元気は、新作中心に読んでいる作家です。久々の新作は、家族とカルト宗教の物語でした。私は無神論者ですが、三大宗教の聖地、エルサレムを訪れたら宗教観は変わるでしょうか? https://bunshun.jp/articles/-/502712021/12/06
いつでも母さん
181
「良いことは神の御加護、悪いことは神の試練」確かに神は酷いかも・・だが、溺れる者は藁をもつかむとも言う。信じる者は救われる。救われたいのだなぁ。天国も地獄も、すべてここにある。と帯にある。そこはどこ?宗教とか、信仰心が織り込まれてる作品は正直苦手で、ラストに向かう数十ページは破壊しかなかった。2021/12/13
美紀ちゃん
123
被害者家族の悲しみが深い。息子を亡くした母の落ち込みが深い。何かにすがりたくなるのはわかる。悲しさに支配されてばかりではいけない。しかし、宗教はよくない。300百万円も持っていかれるのは、怪しまないと。 神様→ただの壁。 どうして生きることがこんなに苦しいのか、なぜこんな辛い目に遭うのか。 人は理不尽を壁に向かって嘆きながら、そこに神を感じるしかない。 と、隼太郎くんは言う。 「神」ごめんなさい。私はまゆつばって思ってる。 ラストの最上さんの狂気は怖くてドキドキした。 この家族は大丈夫。きっと。2021/12/04
やっさん
116
★★☆ 第一章はハラハラしながら夢中で読めたけど、それ以降は独特の世界観に置いていかれながら惰性で読んだ。狂気が加速して俗世から離れていくこの感じは、新興宗教の不気味さを後押ししているのかもしれない…。 2023/07/09