出版社内容情報
青山を走る自転車に乗った父の背中が今でも見えるような気がする――。大切な記憶を辿るエッセイに安西水丸の青インクの絵を添えて。
内容説明
スノードームの小さな世界に、父は何を見ていたのか―。父・安西水丸の好きなもの、お気に入りの品々を眺めながら、大切な記憶を辿るエッセイに、青インクの絵を添えて。
目次
一杯のダブルエスプレッソ
荒れた海辺の記憶
若い日々を過ごしたニューヨーク
縞にはじまって縞に終わる
スノードームに降る雪
珈琲の風景
カレーをつくる、食べる
ブルーウィローを探して
「フォークアート」との出会い
こけしをめぐる旅
東京から「燃えよドラゴンズ!」
父のノート1 デッサンを学びはじめて
父のノート2 自然体でデザインとともに
父のノート3 上手下手を決めること
ガラスのプロペラ in 一九八二
三人の画家とともに
海辺の町での日々
好きなものに囲まれて
ゆかりの地、十勝に建つ作品館へ
お酒にまつわるあれこれ
義仲という名前の自転車
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
konoha
51
安西水丸さん、おしゃれでかっこよくて大好き。娘のカオリさんが父について書いたエッセイ。ブルーの文字が意外と読みやすい。水丸さんの青インクのイラストも味があって和む。スノードーム、カレー、こけし、中日ドラゴンズなど好きなものが多く、その世界を突き詰める。絵を描くのが好きな気持ちを大事にする。自然のいびつさや個性を愛おしむ。水丸さんの創作の秘密が垣間見えた。何より娘さんがこんなにお父さんのことを語れるって素敵。水丸さんの柔らかい人柄や感性に触れ、少年時代育ったという千倉の海を思い出した。2022/07/30
阿部義彦
22
安西水丸さんの長女であり、エッセイスト、絵本作家である安西カオリさんの綴った素敵なエッセイです。イラストレーターと言う名前もまだ無かった頃から、誰に学ぶとも無く自分の道を模索した、青春時代や、父の手作りカレーの事、初めて知る事が沢山ありました。水丸さんはアメリカのフォークアートに多大な影響を受けたのですね。無名の道楽として、正規な教育を受け無かった老人たちの素朴な美しさ、又民芸品も好きでこけしも集めてました。美術教育のいけない所は上手いか下手かで決めてしまう所。その人にしか書けないものを重視しました。2024/11/26
pirokichi
21
娘が綴る父・安西水丸の記憶。「良く見せようとするのではなく、自然体で描く」という父親の一貫した姿勢のとおり、気負わない自然体の文章で、読んでいる私の心身もほどけてくる。ブルーインクの文字と挿画が何か懐かしい気もちにもしてくれる。それにしてもうらやましい親子関係だなあ。父と娘がお互いに一人の人間として尊重し合っているのが伝わる。「そうしたなかで父は、誰よりも描くことが好きであるという強い気持ちを貫いてきました」9月20日まで世田谷文学館で安西水丸展が催されている。行ってみよう。2021/08/01
はるき
18
安西水丸さんを存じ上げないんですが、娘さんの目に映る人柄が何とも良い感じ。青いインクで綴られる親子のエピソードに郷愁をさそわれます。2021/08/01
Naoko Takemoto
10
故・安西水丸さんの落書きみたいなイラストや、ユーモアまじりのエッセイやコラムが好きで著作は何冊か本棚にある。亡くなったのが本当に残念で・・。本著は娘さんが父を語る軽妙だが読んでいて心が温かくなるエッセイ。文字もイラストもすべてブルーのインクで描かれている。サッカー選手著作の全ブルー活字書籍は全く興味は持てないが、まるで父親に向けてブルーインクで書く手紙のようだ。千倉出身でカレー好き、中日ドラゴンズのファン、ジャズ好きで村上春樹とつるんでた(笑)そういうエピソードがステキだ。2021/07/16