出版社内容情報
最凶の殺人者たちを止められるのは、稀代の名探偵だけ! 奇想と論理と感動の豪華絢爛な三重奏。鬼才、覚醒の瞬間を、目撃すべし!
内容説明
稀代の毒殺魔も、三十人殺しも。日本犯罪史に残る最凶殺人鬼たちが、また殺戳を繰り返し始めたら―。新たな悲劇を止められるのはそう、名探偵だけ!善悪を超越した推理の力を武器に鬼の正体を暴き、そして、滅ぼせ!
著者等紹介
白井智之[シライトモユキ]
1990年千葉県印西市生まれ。東北大学法学部卒業。第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作『人間の顔は食べづらい』で、2014年にデビュー。15年に刊行した『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補、16年に刊行した『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
229
装丁画にだまされて。名探偵のはらわた、ってこの赤い女の子の事じゃないのか。とは言うもののタイトルこそアレだけど、意外にもちゃんと本格派のミステリーである事にびっくり。感じとしては【屍人荘】シリーズに近いかな。短編4話収録だが、どの話しも密度が濃く、また各話が絶妙に関連しあっていたりするので、読者も頭フル稼動。結局、装丁画のキャラクターは誰なのか最後まで判らずじまいだったが。あと残り3話、語られないと決着がつかないはずなので続編ありきの1作目といったところ。次回完結編【名探偵のはらわたII】期待して待て!2022/07/25
みっちゃん
176
私的には「超」がつく面白さだった。いつものゲロゲログログロ(スイマセン)を思わせるタイトルの意味には序盤からずっこけましたけど。「名探偵登場」の場面から「わあ、こうきたか!」と胸が高鳴る。昭和の猟奇事件とホラーの絶妙な融合、もう大好物。作者の何重にも張り巡らされた仕掛けに嵌まりながら、頁を捲る手が止まらず。終盤の作者ならではの「津山三十人殺し」の解釈には唸らされた。まともな感じでも、白井作品半端ない。2020/11/21
やっちゃん
121
クラシカルな雰囲気がたまらない序盤だったが時代は現代、あっさりいくはずもなく信じられない奇抜な展開に驚くしかない。とにかく無駄のない濃厚なミステリで3冊分を煮詰めて一冊にした感がある。すごいプロット。動画に話しかける古城が笑えた。2023/06/09
buchipanda3
113
読み始めて早々にタイトルの意味を知り、えーっとなるが著者らしいとも思った。しかもその後にそれだけじゃないよという感じを見せてくるのも。さらに本作のメインの筋立てに持っていく舞台の整え方がまたひとクセもふたクセもあって、仕掛けのためのハチャメチャぶりを披露。そして特異なミステリ作家による昭和の異様な犯罪への挑戦が幕を開ける。元ネタの事件は有名だが詳細までは知らないので着眼点の鋭さまで判別できないが、容赦ないロジック詰めを堪能した。今回酸っぱい感じは抑えめ。でも終盤の渾身の仮説推理はガッツリと。これは続きも。2020/08/27
萩
108
普通に面白かった。いや全然普通じゃないんだけど白井さんにしてはこれは普通の範疇だろう。著者の作品も三作目となると、こちとらちょっとやそっとのげぼでは動じなくなっているので私自身の肝が据わってきた気がする。はじめは堅実な雰囲気のミステリーかと思いきや、急展開でキテレツな設定へと突入する。キテレツなんだけど妙に話に筋が通っており、実際の事件をベースにしているというのもあってすんなり物語に入っていけた。覚えきれないくらい伏線&回収があって全てを納得できたかは疑問だが、文章は冴えていて随所にセンスを感じる一作。2023/11/17