出版社内容情報
わたしは生きていた 生まれたのかもしれない。地上の生を祝福する空間作品で世界を魅了する美術家、はじめての言葉による作品集。
著者等紹介
内藤礼[ナイトウレイ]
美術家。1961年広島生まれ。1985年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。1991年佐賀町エキジビット・スペースで「地上にひとつの場所を」を発表。同作品は1997年に第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本館においても展示された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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アキ
71
詩のような言葉たち。豊島美術館「母型」・直島ぎんざ「このことを」のインスタレーションの作者。ずっと興味があった。あの美術館での丸くて白いちいさいもの、風にそよぐ白い糸のようなもの、白い床に水滴が集まりゆっくりとそして急に流れ出す水の中の水、丸く切り取られた空と鳥のさえずり。あの空間での体験は一生忘れることはない。まさにこの世の祝福、無条件の存在。あの建築に魂を吹き込んだのはまぎれもなく彼女なのだ。「生まれて来たのにわたしたちは去って行く、去って行くわたしたちだからこうして生まれて来た」 哲学的な言葉たち。2020/05/03
けんとまん1007
54
美術家のこころ・魂・五感に溢れる1冊。綴られる言葉も、独特の感じがするだけでなく、本の装丁・紙質・手触り・余白も含め、こちらも感覚を研ぎ澄ましながら読み進める。暮らしを営む指針となる言葉がある。ここに生きていく哲学がある。2022/05/21
aof
11
生涯をかけて追いかけたい作家、内藤礼の初の言葉による作品集。この本がこのタイミングで出された奇跡を感じずにいられない。 地上に存在していることはそれ自体祝福であるのか。 内藤礼のアーティストステートメントだけど、わたしもふとした時に考えてしまうな。2020/04/19
rou
9
読み辿ることで、その光に向けて流れる言葉が身を結ばんとするところ、しかしまた翻りそして産まれ直す様を共に体験し、やがて自身も光を浴びてそこに立つ人とともに居る。実に美しい。2022/09/22
kentaro mori
7
制作論でもあり、祈りの詩集でもある。李禹煥の本と読みたい。⚫️できる限り厳密にものを作るその先に、どうかわたしにはわからないものが顕れるように。2020/03/31