出版社内容情報
変わりゆく時代の中で、大切なことは何か。13歳になった「ぼく」の日常は、私たちに問いかける。80万人が読んだ成長物語、完結。
内容説明
「ぼく」は13歳になった。そして親離れの季節がやってきた―80万人が読んだ「一生モノの課題図書」、ついに完結
目次
1 うしろめたさのリサイクル学
2 A Change is Gonna Come ―変化はやってくる
3 ノンバイナリーって何のこと?
4 授けられ、委ねられたもの
5 ここだけじゃない世界
6 再び、母ちゃんの国にて
7 グッド・ラックの季節
8 君たちは社会を信じられるか
9 「大選挙」の冬がやってきた
10 ゆくディケイド、くるディケイド
11 ネバーエンディング・ストーリー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
691
ブレイディみかこ4作目です。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の続編、新鮮味はありませんが、安定 の面白さでした。しかし図書館をホームレスのシェルターにするようでは、イギリス社会も相当いかれています。帯では完結編とされていましたが、第三弾もありそうな雰囲気です。但し、タイトルのブルーは、本書の表紙のミントグリーンではなく、もっと憂鬱なブルーだと思います(笑) https://www.shinchosha.co.jp/ywbg/2021/10/29
kou
589
今作も面白く、自身としても考えさせられた。前作もそうだったが、中学生で、ここまで他者を思いやり、物事を深く考えることができるのは、凄いことだと思う。できるならば、成人するまでの過程も読んでいきたいな。続編希望!!2021/12/14
Kanonlicht
555
英国が抱える経済格差や人種問題、LGBTQなどの状況について、中学生男子のリアルな感想を、それをヒアリングする移住者としての著者の視点とともに多角的に知ることができた。前作よりもさらに大人びた視点を獲得した息子さんについて思うのは、英国の発展的な教育プログラムのおかげもあるだろうけど、やっぱり自らがアジア人の子として多様性の当時者であることも大きいのだろうと思う。日本はまだ外国からの移住者を心から受け入れているとは言い難く、彼らもまたそれぞれに繊細な胸の内があることを理解しなければと思った。2021/10/07
bunmei
500
中学生に入学した息子も、それなりの時間の経過と共に、思春期から大人へ。逞しく成長し、社会に対して、俯瞰的な思考や見方ができるようになってきている。それは、底辺中学校と呼ばれる公立学校に身を置いたことによる、彼なりの処世術であり、培われてきた人間性なのかもしれない。それに伴って、母親の見方も、前作のような息子目線を通したイギリス社会に対する内容から、社会全般に渡り、より多様な価値感やそれらを受容する姿勢へと変容している。近い将来の日本でも起こりうる社会問題を、決して悲観的ではなく、幅広く投げかけてきている。2021/10/29
読特
469
外にいれば死ぬかもしれぬ台風の最中、ホームレスを受け入れなかった避難所。「追い出した人は社会を信じられなかった」という息子のスピーチ。…育つ、労働者階級の町で。学ぶ、元底辺校で。暮らす、多様な人々の中で。緊縮を進め低賃金の移民を受け入れる。英国の多様性が進んだ経緯は決して好ましくはない。それでも、様々な立場を理解し、妥協し、摩擦を乗り越えることは人の心を豊かにする。日本の先行く”金だけのグローバル化”は止めねばならない。一方で、”違う”への理解も進めなければならない。完結編。ネバーエンディングで終わる。2021/11/04