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蟻の棲み家

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  • サイズ B6変判/ページ数 319p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103521914
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

事件は「底辺」の二人の女の殺害からはじまった。格差に美談で蓋する社会と、必死に這い上がろうとする男。骨太なノワール犯罪小説。平等が建前の社会に埋れた、理不尽な「階級」。底辺から抜け出すため、男は何を為したのか――。二人の女が別の場所で、銃で撃たれ死亡しているのが発見された。どちらも、身体を売り怠惰な生活を送る母親だった。マスコミが被害者への同情を声高に語る中、フリーの記者・木部美智子は地道に事件を追い続けるが……。格差に美談で蓋する社会と、そこから必死に這い上がろうとする男。骨太なノワール犯罪小説。

望月 諒子[モチヅキ リョウコ]
著・文・その他

内容説明

二人の女が中野区内の別の場所で、それぞれ銃で撃たれ死亡しているのが発見された。どちらも身体を売り、育児を半ば放棄した、シングルマザーだった。マスコミが被害者への同情と美談を殊更に言い立てる中、フリーの記者・木部美智子は、蒲田の工場で起きた地味なクレーム事件を追い続けていたが…。現代社会の光の当たらない部分を淡々とした筆致で深く描き出した、骨太なノワール犯罪小説。

著者等紹介

望月諒子[モチズキリョウコ]
1959年愛媛県生まれ。銀行勤務を経て、学習塾を経営。2001年、『神の手』を電子出版で刊行しデビュー。2010年、ゴッホの「医師ガシェの肖像」を題材にした美術ミステリー『大絵画展』で第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

234
なんとも苦しい読書だった。これは多分この国で起こってる事の一つだろう。どんなに綺麗ごとを並べても『見て見ぬふりする社会』の一員は私でもある。翼と末男が逮捕されてから真実はどこ?に至るまでじりじりして、とにかく哀しかった。『運』なんて言葉で語りたくはない。狭い路地を走って屋根と屋根の間に見える青空は誰の目にも同じ空なのに・・末男よ、今、見える空は青いか?広いか?殺していい人間などいないけれど、殺されても悲しまれない人間もいるのだなぁ。なんとも遣る瀬無いがお薦めです。2019/01/24

hiace9000

128
社会から置き去りにされ、闇から這い上がることのできない蟻地獄の如き現代の貧困をテーマに、被害者・加害者、マスコミそして世間の常識の矛盾、欺瞞を炙りだし抉りだす社会派ミステリー。ノワール群像劇のなかでも最右翼の「闇」度合の本作。骨太で迫真の圧倒的筆力は、ボディブローのように読み手を苛み続ける。闇から作者が放つ言霊は鋭利な漆黒の矢尻となり、格差や貧困の現実を見て見ぬふりする我々の胸を容赦なく突き刺し貫く。「貧しいのと貧困は違う」のくだりには頓悟の感すら。そして待ち構える衝撃のラスト。読み応えズシリの傑作小説。2023/04/19

モルク

124
身代金目的の偽装誘拐、食品工場を恐喝する電話、そして売春婦二人が至近距離から射殺される。事件の繋がりは…。逮捕された男たちの言い分の違い、どちらが主犯で、どちらが本当のことを言っているのか。片や開業医の息子、そしてもう片方はネグレクトを受けながらも妹を育て、膨らんだ母親の多額の借金を背負ってきた男、末男。重く、苦しい!子供は親を選べない、だからといって…これは酷い。もがけばもがくほどぬかるみから抜け出せない。この社会の闇は何なんだ。2021/02/05

のぶ

124
とても重厚なクライムノベルを堪能した。二人の女が中野区内の別の場所で、銃で撃たれ死亡しているのが発見された。二人とも売春で生計を立て、育児を放棄したシングルマザーだった。一方で蒲田の工場で起きた地味なクレーム事件が起き、それを追う記者がいた。物語が進むにつれ、これらの事件や関係する登場人物の関連が明らかになってくるのだが、社会の底辺で生きている人たちの描写が、読んでいて重くのしかかってくる。望月さんの本は初めて読んだが、骨太なプロットと人物造詣が読み手の心を掴んで離さない秀逸な作品だった。2019/02/10

fwhd8325

106
重苦しい作品でした。世界がどんどん狭まっているように感じる。一方で、個人を晒されてしまう時代。まさしく、今を描いている物語でした。小説の世界でもこうした内容が増えてきたように感じますが、私自身が、小説として割り切っているだけでなく、何だか麻痺しているようにも感じる怖さを感じます。2019/06/30

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