球道恋々

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  • サイズ A5判/ページ数 544p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103509554
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

一度は封印した野球に、中年にして再び目覚めた銀平。明治男児らしい純な一途さを通じて野球草創期の熱気と人生の喜びを描く痛快作!

内容説明

金なし、地位なし、才能なし―なのに、幸せな男の物語。時は明治39年。業界紙編集長を務める宮本銀平に、母校・一高野球部から突然コーチの依頼が舞い込んだ。万年補欠の俺に何故?と訝しむのもつかの間、後輩を指導するうちに野球熱が再燃し、周囲の渋面と嘲笑をよそに野球狂の作家・押川春浪のティームに所属。そこへ大新聞が「野球害毒論」を唱えだし、銀平たちは憤然と立ち上がる―。明治球児の熱気と人生の喜びを描く痛快作。

著者等紹介

木内昇[キウチノボリ]
1967年東京生まれ。出版社勤務を経て独立し、インタビュー誌「Spotting」を創刊。編集者・ライターとして活躍する一方、2004年『新選組幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年に刊行した『茗荷谷の猫』で話題となり、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。11年に『漂砂のうたう』で直木賞を受賞、13年に刊行した『櫛挽道守』は中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

143
現在の夏の高校野球が始まるまでの一高VS三高OBの物語。ちょっと長いがそこは木内昇、笑いあり涙あり・・主人公・OBの銀平が時々胸に沁みることを言うんだなぁ。そうだよね、「現実世界では全て願い通りに人生叶う者などいないかもだ。」「たまには希望のままに振る舞える場があってもいい。」まったくだ。だから今、夏の甲子園に、そこまでの道程に、自分の姿を重ねたり、きらきら光る汗や涙に胸を熱くして魅入ってしまうんだ。今年もまたそんな季節がやって来た!2017/06/19

chimako

120
野球はその昔「不良の遊技」と呼ばれていた。それにも関わらず野球に命をかけんと必死に進む一高野球部とそのコーチの物語。後輩たちへの行き過ぎた暴言も野球を深く愛するがゆえ。三高との因縁の一戦。早慶との戦い。白シャツ短パンにへこ帯を締めて地下足袋を履く。一高校長新渡戸稲造をして巾着切の遊戯と言わしめ、日本全国の教育者が害毒と決めつけた野球。それなのに何故、心をつかんで放さないのか。何故、やめないのか。主人公宮川の演説がそれを語る。命尽きようとする春波の言葉が芯を突く。野球とがっぷり四つに組んだ540頁だった。2017/09/10

nico🐬波待ち中

116
野球好きの木内さんの描く明治時代の学生野球は、武士道精神に則った濃密なものだった。まるで軍隊のように上下関係も厳しく死をも覚悟して試合に望む。トップレベルの第一高等学校にかつて在籍していた宮本は、万年補欠で技術的には上手くなかったけれど、野球をこよなく愛する男。社会人になっても野球が忘れられない。ただ好きで夢中になってしているだけ、と笑う彼がちょっと羨ましい。宮本が住まう長屋の人達との交流もいい。特にいつも朗らかな奧さんと、根っからの江戸っ子の頑固親父が良かった。木内さんの描く下町長屋はやっぱりいい!2017/06/23

みかん🍊

104
名門一高で野球をしていたが補欠にとどまり、家の都合で帝大へ進めなかった銀平が突然一高の野球部のコーチを任される、明治から大正にかけて、当時野球は不良になるとか野蛮とか勉強が疎かになるとか散々な言われ様、今からは想像もつかないが「野球害毒論」に対決する朝日新聞に憤然と立ち向かうのは場面は面白く人生も仕事も野球に擬えるのは今も昔も同じ、挫折があるから面白い、回り道も無駄にはならない、銀平を支える女房の明喜がいい、虐げられていた頃からずっと野球を止めずに続けてきた彼らが居るから今がある。2017/08/24

のぶ

104
時代は明治30年代後半。野球の創成期の時代に、業界紙編集長の宮本銀平に、母校の一高から野球のコーチの依頼が舞い込む。前半部では野球に打ち込む連中が登場し、皆熱中しているが、一人一人に野球への愛情が伝わってくる。当時の世相と、今の野球の違いがよく表されていて面白い。中盤に入り野球への誹謗中傷が出てきて、野球害毒論を新聞が唱えるが野球を愛する皆は、そんな意見に対抗して立ち上がる。単なる野球小説に収まらず、現在の野球の隆盛につながる作品で、読後も爽やかな一冊。木内さんの新作は本作も傑作だった。2017/07/09

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