出版社内容情報
一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。大切な誰かを想う切なくも胸に迫る恋愛小説。
内容説明
演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った―。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまにもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
812
又吉直樹3作目、小説は「火花」に続いて2作目です。切ないラブ・ストーリー、もう少しサプライズが欲しかった気もしますが、「火花」よりも完成度は高いのではないでしょうか?次回は、私小説的ではない長編を期待しています。それにしても佳い女は、どうしてダメ男に魅かれてしまうのでしょうか?逆は滅多にない気がしますが・・・2017/05/25
抹茶モナカ
750
文学青年の書いたような純文学を目指しました的な文体が、読み始め、気になった。風景描写が細かいのだけれど、イメージを喚起しないし。認められず、世に出られない演出家と、それを支えた女性の愛の軌跡。何処かの新聞の書評でも指摘があったけれど、確かに時間が経過している事が伝わって来ない。男の懊悩を細かに書いているのに、のっぺりしていて。それでも、音楽を聴いていて、歌詞の一節が心に響いた時のように、読んでいる期間はいろいろこの小説の事を考えさせられた。何かが欠落している印象でした。そこが良いのかも。2017/05/16
しんごろ
749
ダークな又吉直樹さんがモデルという感じの主人公で、ダークな部分が強すぎて主人公には共感できなかったですね。他人からみたら、なんで一緒にいるのとは思うけど、理屈抜きの愛、2人にしかわからない繋がる何かはあるとは思います。ただ沙希ちゃんが救われないなあと、俺ならこうするとついつい感情移入しちゃいました。切なく、哀しくはなりましたが、これでいいのかもと妙に納得しました。どうしても又吉直樹さんがモデル⁉という感じで読んでしまいますので、又吉直樹さんっぽくない主人公の作品を読みたいですね(^^)2017/07/07
ウッディ
704
売れない演劇脚本家とそれを支えるけなげな女性を描いた又吉先生の第二作は、少し切ない恋物語でした。自分の思い描く演劇の理想を求める永田は、良い意味ではストイックだが、融通がきかない頭でっかちで、女性から見るとダメ男の典型。「火花」の神谷を彷彿とさせました。とっても良い子の沙希は、永田の純粋さに惹かれたんだろうけど、その純粋さ故に傷ついたのだと思いました。沙希を失う前に、もっと優しくしてあげればと思うけど、そうできない男の馬鹿さも、男の自分には共感できました。ただ、理解不能な表現も多く、読みにくかったです。2018/08/15
遥かなる想い
583
リリカルな恋愛小説だった。 劇団員の僕と 優しい沙希の会話が 印象的で、 胸に残る。 純粋で 素敵な沙希.. その彼女への複雑な 僕の想いが、 なぜか素直に読者に 哀しく伝わる。 全編に漂う 息苦しいまでの 僕の暗い感情が、 二人の将来に不吉な影を感じさせる.. 最後は しんみりと 明るい、そんな終わり方 だった。2017/08/11
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- 和書
- おのれ筑前、我敗れたり