出版社内容情報
既読スルーなんて、友達じゃないと思ってた。ブログ、SNS、口コミサイト。ネットのせいで伸び縮みする、心の距離感を描く連作集。既読スルーなんて、友達じゃないと思ってた。ディスプレイに輝く口コミの星に「いいね!」の親指。その光をたよりに、私は服や家電を、そして人を選ぶ。だけど誰かの意見で何でも決めてしまって、本当に大丈夫なんだろうか……? ブログ、SNS、写真共有サイト。手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離に翻弄される人々を活写した連作集。
奥田 亜希子[オクダ アキコ]
内容説明
手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離をかろやかに描く物語。
著者等紹介
奥田亜希子[オクダアキコ]
1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。フリーペーパー制作会社の広告営業職を経て、2013年「左目に映る星」(「アナザープラネット」を改題)で第37回すばる文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
182
しっかりハマって読み続けた奥田さん作品もコレで手持ちがなくなり、6冊目となりました。まだまだたくさん読んでみたい作家さんです。今作は今や誰もがフツーに閲覧し、使用(利用)しているSNSをあつかった短編集です。当たり前ですが、誰もが気軽に利用できるだけに、規制があってないようなモノで、利用する側としては本当に気をつけなければならないですよね。一番最初の’既読スルー’をテーマにした作品と1度も会ったコトのない大学生バンドマンに恋する中学生の話が、とても印象的でした。作品によっては湊かなえさんっぽいかなと。2018/07/21
🐾Yoko Omoto🐾
160
コミュニケーションツールで仲間を見つけ、自分を発信することで得る満足と安心感。だがその傍らで、軽薄な繋がりが思いもよらぬトラブルに転じたり、自分の現実を救ってくれるものではないことを当たり前に思い知ったりする。理想の虚構と寂しい現実のコントラストや、膨れた承認欲求の果てにあるものが、細やかな心情描写に乗せてリアルに描かれた物語は、チクチクヒリヒリと心に刺さる読後感だ。マイベストは、ネット上の恋人に自らを曝しすぎたせいで、辛い現実と向き合うことになる少女を描いた「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」➡(続)2017/01/12
はる
117
思ったよりビターな味わいの短編集。登場人物たちの不安や葛藤が繊細に描かれていて引き込まれました。表題作や「キャンディ・イン・ポケット」のような、不穏な雰囲気からラストにホッとする展開の話が好みかな。最後の話はかなりシニカルなタッチ。締めの一節も少し皮肉が過ぎて、それまでの物語と違和感を感じました。2019/09/23
sayuri
105
「キャンディ・イン・ポケット」「ジャムの果て」「空に根ざして」「五つ星をつけてよ」「ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ」「君に落ちる彗星」6話収録の短編集。ネットの世界を背景に描いた6つの短編は全て読みやすいがヒリヒリとした痛みを伴う。既読スルーで友人との距離間を量ったり、クチコミの星の数でしか物事を決められなかったり。どれも私達のすぐ傍で起きている事だ。親離れした子供達に甘いジャムを送り続ける「ジャムの果て」は母親の、親子間の愛情を盲信した果ての狂気に戦慄する。軽やかなタッチとは真逆なリアルSNS小説。2021/06/24
モルク
97
SNSやブログが共通項の6編の短編集。よかれと思ってやっているのになぜか空回り、家族からも自分本意と疎まれ…という「ジャムの果て」は亡くなった実母を思い出す。押し付けにならないように自分も気をつけなければ、と思う。どの作品も、ちょっと心がチクリ、ヒリヒリ痛くなる。とても読みやすい一冊。2019/05/16