出版社内容情報
山下スミト、19歳。【先生】に学ぶため辿り着いた富良野での、痛切でかけがえのない記憶。気鋭作家が自らの原点を描き出す渾身作!十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験――。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼ばれ、俳優や脚本家を目指す若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、【先生】との軋轢、そして地元の女性と同期との間で揺れ動く思い。気鋭作家が自らの原点と初めて向き合い、記憶の痛みに貫かれながら綴った渾身作!
山下 澄人[ヤマシタ スミト]
内容説明
19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いた先の“谷”では、俳優や脚本家志望の若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、“先生”との軋轢、地元の女性と同期の間で揺れ動く感情―。思い出すことの痛みと向き合い書かれた表題作のほか、入塾試験前夜の不穏な内面を映し出す短篇を収録。
著者等紹介
山下澄人[ヤマシタスミト]
1966年、兵庫県生まれ。富良野塾二期生。96年より劇団FICTIONを主宰、作・演出・出演を兼ねる。2012年『緑のさる』で第34回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
496
このところの芥川賞受賞者に比して地味な印象は否めない。作品の持つインパクトもまた大きくはない。著者の、かつて若かりし日の富良野塾での1年間を綴ったものだが、その文体にも新しさは感じない。妙に素人っぽいのだ。それが魅力であるというならばそうなのだろう。いわゆる文学エリートの書く小説とは確かに違う。いわば雑草の持つ強さはたしかにあるだろう。その意味では作家として生き延びていけるかもしれない。しかし、演劇人(彼は劇団の主宰者でもある)としてはわからないが、私には小説家としての未来が開けているようには思えない。2017/03/01
遥かなる想い
328
2017年芥川賞受賞。 富良野塾二期生らしいが、物語の設定に それらしきものが現れるのが、素直に嬉しい。 山下君のさりげなさと 淡々とした視点は 著者の意図なのだろうか。 富良野塾体験記として 読むのは楽しいが、 逆にそれ以外には 物足りない.. 【先生】だけが気になる物語だった。2017/04/20
starbro
326
芥川賞受賞が決まってから図書館に予約したので、ようやく読めました。山下澄人、初読です。芥川賞受賞作にしては、読みやすく明るい作品でした。富良野青春グラフティといった感じです。但し、ここ数年の芥川賞受賞作と比較すると作品のレベルは???です。また売れない芥川賞作家が誕生した気がします。2017/06/09
抹茶モナカ
203
芥川賞受賞の表題作と短編1話収録。表題作は【谷】で自給自足しながら、【先生】に演技や脚本術を学ぶ青春小説であり、私小説。富良野塾での倉本聰との日々なのだけれど、テーマとして求心力が足りなく感じてしまったのは、今は倉本聰に僕が興味がないせいか。混濁した文体が独特で、不思議に味わい深い作家ではあるので、今後に期待して良いのか、富良野塾の話以外にどんな話を書く作家なのか、想像ができない。併録された短編の混濁ぶりは、文学していたけど。他の作品を読まないと、自分の好みか判断できないかも。なんか微妙な作家。2017/02/17
ナイスネイチャ
202
図書館本。19歳の私小説。【谷】富良野塾【先生】倉本聰は理解。っで!?何が言いたかった?若かりし著者を思い出しながら半分自画自賛の部分を醸しながらしんせかいを綴ってました。っで!?何が言いたかった?2017/04/19