内容説明
「忙」の時代だからこそ「閑」を。本当の自分を生ききる思想がここにある。
目次
老年の準備は四十代から始めよ
自分一個の意識を徐々に高めてゆくべきこと
マインドの暮しからハートの暮しへ
生活を単純化すべきこと
少しずつ軸足を社会から私の方へ移してゆくこと
お金より「閑」を。人生にはする事よりしない事の方がいい場合がある
実践上の忠告あれこれ
エピクテートスの教え
万事に換えずしては、一の大事成るべからず
祝福さるべきは、若者ではなくて、よく生きた老人である
生きるのは「今ココニ」しかないと心得ること
自分を信じろ。周りに流されるな。力むことはない。―レジー・ジャクソン
社会という車を乗り捨てる―加島祥造
自足した定年後の人生、二、三の例
自分の場合
高雅・閑行、自在の身
著者等紹介
中野孝次[ナカノコウジ]
1925年千葉県生まれ。作家。東京大学文学部独文科卒。著書に『麦熟るる日に』(平林たい子文学賞)、『ハラスのいた日々』(新田次郎文学賞)、『暗殺者』(芸術選奨文部大臣賞)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
34
「年をと取ったならば、(略) ゆったりとして『閑』(かん)にしているのが(良く)、いつまでも世俗の仕業から足を洗わずに、世の中で立ち働いて生涯を終えるのは、愚か者」と。流行?の「生涯現役」と真逆論(夫々の選択だと思いますが)。老後はすべてを自分のために使える黄金の時。その為には、自分の力の下にある自由とそうでないものを峻別する訓練と、40~50代から準備が必要と…。自分の至らない経験でも確かにと思う。「清貧の思想」「ハラスのいた日々」で有名な著者。2003年7月刊、そこから1年後あちらへ旅立たれた。2025/03/03
matsu04
30
著者はセネカや老子など先人の言を例に挙げ、「閑」の中でこそ真に自分の人生を生きることができると説く。すなわち職場等の組織から解放され、一個のただの人として、この上ない自由の時間を享受できるのが老年であると強調する。初読み時にも感銘を受けた本書だが、今回は自身が老境に入りつつある分、さらに心の奥深くに染み渡った。2016/05/03
双海(ふたみ)
13
大学図書館の除籍本。思いがけず良書に出会うことができた。生活を単純化し、軸足を社会から自分へと移していくこと。「実際多忙な人にかぎって、生きること、すなわち良く生きることが最も稀である」(セネカ)2022/06/30
ceskepivo
8
著書は言う「人は『閑』の中でしか真の幸福は得られない」。また、今直ちに生きなければならない。真の安心は、自分を受け入れ、全肯定すること。つまり、幸福は自分の中にあるのであって、外的作用からは幸福は得られないということだろう。2025/02/07
コマック
5
晩年を迎えた中野氏が、老年期を迎える心構えについて、お酒をちびりちびり飲みながら、私たち後輩に優しく語りかけてくれているかのような文章でした。氏の60歳からの楽しみとして、書・碁・酒・犬・読書を挙げていました。また「本当の楽しみに古典落語があったが、昭和30年代の名人:志ん生・圓生・三木助・文楽・小さん・可楽などがいなくなり、最後の一人志ん朝も亡くなってしまい、その楽しみが無くなった」という旨の記述に非常に親近感を覚えました。読書はこうして今行っているので、まだやったことがない碁を始めてみたいと思います。2024/03/08
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