内容説明
“死神にも見はなされた”史上最強のコラム!ひと言でまとめる今の世のありさま。
目次
子細あっての機械音痴
田村隆一受賞す
なぜつぶれたか山一証券
鴎外の娘ふたり
昔めかけというものがいた
二十年ぶんのテレビを見る
さきだつ不孝をお許し下さい
資本主義には正義がない
蝉しぐれ子の誕生日なりしかな 敦
息吹きかえすか東京の「祭」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miho Haruke
4
まだ読んだことがなかった筆者晩年に近い随筆を読み始めている。といっても筆者の場合、いつのどの本を読んでもほとんど同じなのだが(これは褒め言葉です)。いわゆるタカ派が喜ぶ言説なのだが、じつは筆者は個人として何か行う、何か言う人(と彼らの挫折)に対しては、その人たちの思想の好き嫌いとは無関係に、無条件に敬意を表している。「個人として」何かをなそうとすることがどんなに大変かを骨身にしみて知っている筆者の悪口雑言は、だから不愉快でない。筆者はリベラルを軽蔑しない。リベラルを実践することの困難を知るだけだ。2012/10/29
誉れ高きじゅごん
0
本文中でも言っているが、嫌いな人は本当に嫌いな本であり作者だろうなあと思う。 接続詞を廃して斬りこんでくる山本の文体は、直截であるがゆえに反感を覚える事もある。しかし彼は(故人だが)意に介さない。彼は自称半分死んでいる人間で、世評をどうでもいいと考えているからだ。予め切腹してから切りかかってくるようなものであり、たちが悪い。作者の性格の悪さを感じさせる。 しかし、自分は非常に好きだ。読者がぼんやりと考えていたことを鮮明にさせるはっきりとした物言い、読者に媚びない姿勢。山本の他の本も読んでみたく思わせる。2012/06/18