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介護民俗学へようこそ!―「すまいるほーむ」の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 312p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784103395119
  • NDC分類 369.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

こんな風に世話してもらえたら……。民俗学の「聞き書き」の方法が介護現場を劇的に変えた! 発見と感動に満ちた新しい介護の世界。

こんな風に世話してもらえたら……。発見と感動に満ちた新しい介護の世界。高齢者と向き合い、人生の先輩として話を聞く。そんな民俗学の「聞き書き」の方法が介護現場を劇的に変えた! デイサービス「すまいるほーむ」で語られる鮮やかな記憶、意外な戦争体験、思い出の味、切ない恋バナ。多彩な物語が笑いと涙を呼び、認知症の人もスタッフも豊かな感情を取り戻していく。介護の可能性を切り拓く一冊。

内容説明

ここは、静岡県沼津市のデイサービス施設「すまいるほーむ」。デイルームや入浴介助の場で、ふと語り出される鮮やかな記憶の数々。忘れえぬ思い出の味、意外な戦争体験、昭和の暮らし、切ない恋バナ。多彩な物語が笑いと涙を呼び、認知症の人もスタッフも生き生きとした感情を取り戻していく。豊饒な物語が問いかける「老いることの価値」とは。人が人として尊重される介護のありかたを切り拓く一冊。

目次

第1章 聞き書きの沃野へ―すまいるほーむの風景(清子さんのいなり寿司;彼女たちの挺身隊;ゑみ子さんの恋バナ;貞さんから受け継いだもの)
第2章 死を想う(灯篭流しがつなぐもの;哀しみを共にしたい)
第3章 すまいるほーむができるまで―村松社長への聞き書き(老人病院の「罪悪感」から始まった;自分も行きたいと思える場所をめざして)
第4章 認知症の人と共に(聞き書きクライシス;共に食べる―食事介助の奥深さ;「当事者の声」と向き合う;認知症の人の「物語」を「遊ぶ」)
終章 聞き書きで介護の世界が変わっていく(みんなで座談会;表現としての聞き書き)

著者等紹介

六車由実[ムグルマユミ]
1970年静岡県生まれ。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。専攻は民俗学。2003年、『神、人を喰う―人身御供の民俗学』(新曜社)でサントリー学芸賞受賞。東北芸術工科大学芸術学部准教授を経て、介護士に。介護の現場に民俗学の「聞き書き」の方法を取り入れた経緯を綴った『驚きの介護民俗学』(医学書院)で脚光を浴びる。同書は第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞。現在、デイサービス施設「すまいるほーむ」管理者・生活相談員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

72
ナラティヴ(物語ること)から生まれた介護の世界の豊かさ。介護民俗学は、著者の造語で「聞き書きによって、介護現場のお年寄りたちの歩んできた人生に真摯に向き合うことで、人が生きることの意味や人間の営みの豊かさについて考えていくための方法」のことである。それを、六車さんがデイケア施設の管理者として「すまいるほーむ」で実践している。絶望と諦めで生きる気力をなくしている高齢者が、六車さんの「聞き書き」によって、ケアをする/されるという関係を超えたより広がりのあるものへと発展していく。こんな創造的で豊かな高齢者ケアの2016/03/08

ネギっ子gen

51
大学の准教授から介護士に転身し、介護現場に民俗学の「聞き書き」の方法を取り入れた経緯を綴った『驚きの介護民俗学』で脚光を浴び、デイサービス施設「すまいるほーむ」の管理者・生活相談員として活躍中の著者が、介護民俗学という方法を拠り所にしながら、すまいるほーむ(民家を借りた、定員10名の小規模デイサービス施設)の日常を描いた本。介護施設は「民俗学の宝庫」とする著者が、<過去の記憶を掘り起こして、利用者さんと共にその人生を向き合う聞き書きは、利用者さんの死へ向かうプロセスに本当の意味でよりそうこと>であると。⇒2020/10/04

ぶんこ

44
「介護民俗学」とはと思いつつ読むと「聞き書き」という民俗学の手法を使っての介護現場での取組みが描かれていました。一人ひとりの過去に歴史ありで、同じ事を何度も話す認知症の通所者を、苦手だと遠ざけるのではなく、じっくり話を聞いて、そこから個人の出来事を網羅した「人生すごろく」を作る。遊びながらすごろくの主人公を「笑いヨガ」の手法で(おめでとう)(万歳)(最高)と褒め称えるというのが素晴らしい。特に心に残った言葉が「私の介護の現場の理想の形は、自分が行きたい場所」でした。私も「すまいるホーム」なら行けそうです。2018/09/16

ケイトKATE

29
介護民俗学とは、介護を必要とする認知症の人から話を聞き取り、その人の成り立ちを知り理解する手法である。認知症の人はできないという先入観から、何もかも介護してその人の生きがいを奪っている。聞き取りによって、認知症の人の生きる喜びを取り戻す可能性を見出すことができた。著者はかつて民俗学の研究者だったということから、介護現場に欠けているものを発見した。介護現場は専門知識取得だけでなく、外部からの知識も採用してほしい。そして、本書最終章で書かれている介護現場の問題に対する指摘は、介護関係者は必読である。2021/05/24

遊々亭おさる

23
著者の六車由実さんは3K職場である介護業界に『聞き書き』という武器を持って現れた異物であると思う。いわば逆腐ったミカンの方程式状態で硬直する介護現場に風穴を開けられる存在であろうかと。各施設であげられている『利用者本位のケア』という理念が外部に向けたCM程度の意味しか持たない現状の中で、お世話をする側とされる側という固定概念を壊す事で見えてくる介護の魅力と可能性。介護職員による高齢者虐待の元凶を断ち切るためにも、彼女の発想と手法は有効かと。特に若い人に薦めたい一冊。古い価値観を壊せるのは若者の特権だから。2016/05/10

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