出版社内容情報
ねえ神様。あんたにやってもらいたいことがある。世界を正しいあり方に戻すんだ。淡路島の新興宗教が説く新創世神話。芥川賞候補作!
ねえ、神様。あんたにやってもらいたいことがある。世界を正しいあり方に戻すんだ。阪神大震災を予言し、信者を増やす淡路島の新興宗教。教祖Sはイザナキ、イザナミの国生みの地で、新たな世界創世を説いていた。ある日、アメリカ西海岸の秘密組織から男たちが訪ねてくる。彼らは何を企んでいるのか。すべてを見通す僕とは、いったい何者か? 世界のひずみが臨界点に達したとき、それは起きた――。大注目の芥川賞候補作。
内容説明
阪神大震災を予言し、信者を増やす淡路島の新興宗教。イザナキ、イザナミの国生みの地で、新たな世界創世を説く教祖のもと、アメリカ西海岸から謎の天才ハッカー集団が訪ねてくる。彼らは何を企んでいるのか。すべてを見通す僕とは、いったい何者か?世界のひずみが臨界点に達したとき、それは起きた。世界の終末の、さらに先に待つ世界を問う、大注目の新鋭の集大成!芥川賞候補作。
著者等紹介
上田岳弘[ウエダタカヒロ]
1979年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。2013年、「太陽」で第四十五回新潮新人賞を受賞し、デビュー。2015年、「私の恋人」で第二十八回三島由紀夫賞を受賞。2016年、『異郷の友人』が第百五十四回芥川賞候補作になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みかん🍊
87
「人間に関することで、吾輩に無縁であるのもはなにもない」出だしのフレーズ読んだ覚えがある、と思ったら『村田エフェンディ滞土録』だ。前世の記憶を全て憶えていて、今生はのんびり普通の人間として生きようと思っていたら。他人の意識まで入り混んでくる、1人は阪神大震災を予言し淡路島の新興宗教の教祖、もう1人はハッカーとして小銭など稼いでいるアメリカ西海岸に住む男、古事記、日本書記などが絡む話は嫌いではなく面白く読めたが、終盤結局何が言いたかったのか、大再現とは結局・・、流石に芥川賞候補作難解でした。2016/05/26
南雲吾朗
53
以前読んだ「私の恋人」の様に、何世代も生まれ変わる男性が主人公。今回は神として位置づけられるが、彼が出来ることは何世代にも渡る記憶の保持と、特定の人物の頭の中をのぞくことだけである。その能力を有効活用することもなく、日々何事もなく過ごすことだけに努める様な人物である。そんな主人公を中心に天才ハッカー、新興宗教の教祖、裏社会の幹部と様々な人物が絡み合って物語は進んで行く。裏社会幹部のEという人物が兎に角ぶっ飛んだ思想をしていて面白い。「今時、神からの啓示はEメールでやってくるんだ。」素敵なセリフだ。2018/12/18
そうたそ
44
★★☆☆☆ ああ、これが噂のモンスターエンジンの「神々」小説か、と妙なところに興味を抱きつつ読んだ。三作目にして、この人の作品のコンセプト自体は一貫しているんだなあと思った。「太陽・惑星」「私の恋人」に比べると、この作品は幾分わかりにくかった(といっても、一番わからなかったのは「惑星」だけれど)。分からないなりに読んだのではあるが、何か今までの作品のように、世界観を大きく設定した割に終盤でスマートに収束させているという感じがこの作品にはなかったかなあ……。ああ、このまま終わってしまうのか、というような。2016/04/02
百太
32
ほぅ。難解だけど、リズム感あり 、結構面白い。好きか嫌いか分かれる本ですね。 2017/06/09
ユーカ
31
一行目から上田岳弘です。輪廻です。さらに他人の記憶が意識にスライドしてくるという、新しい要素が入って主人公の状況は過去2作を超える複雑さ。恐ろしく文学なのに、モンスターエンジンのネタやら、合コンやら、頭でっかちでバカ悲しいコミュニケーション下手の30歳くらいの変人がなんかわちゃわちゃやっていて、その中に私みたいなセクシャリティ―の奴とかもいて、どんどん愛らしい話になっていくのに、最後はコレだ。どうして今この時に手に取ったのか。本との出会いとは、本当に不思議なものです。暇をもてあました、神々の、遊び。2016/04/17