路地の子

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103362524
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

大阪・更池に生まれ育ち、食肉業でのし上がった「父」。部落解放同盟、右翼、共産党、ヤクザと相まみえ路地を生き抜いた壮絶な半生。

内容説明

「ワシは更池の上原じゃっ!」昭和39年、「コッテ牛」と呼ばれた突破者・上原龍造は天職に巡り会う。一匹狼ながら、部落解放同盟、右翼、共産党、ヤクザと相まみえ、同和利権を取り巻く時代の波に翻弄されつつ生き抜いた姿を、息子である著者が描く!!

目次

第1章 昭和三九年、松原市・更池―「今さら命乞いしても遅いわ。そこでジッとしとれッ」
第2章 食肉業に目覚めた「突破者」の孤独―「オレの周りのええ人は、みんなおれへんようになってまう…」
第3章 牛を屠り、捌きを習得する日々―「オレは捌き職人やで。ケイちゃんさえ付いてきてくれたら、どないなと食べていけるから」
第4章 部落解放運動の気運に逆らって―「金さえあれば差別なんかされへん」
第5章 「同和利権」か、「目の前の銭」か―「人間は、己の実益が絡んでこそ本気になる」
第6章 新同和会南大阪支部長に就く―「オレかて、もう後には引けませんねや」
第7章 同和タブーの崩壊を物ともせず―「ワシの勘はまだ、鈍ってないなと思ったな」

著者等紹介

上原善広[ウエハラヨシヒロ]
1973(昭和48)年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業後、ノンフィクション作家となる。2010(平成22)年、『日本の路地を旅する』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。2017年、『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』(角川書店)で第27回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

332
おもしろかった。大阪・更池という差別を受ける人々が集う“路地”で、戦後に食肉業を営んだ自分の父を小説仕立てで語るノンフィクション。「エッテ」と呼ばれて人々からさげすまれ、極道や右翼、共産党などの人々と渡り合いながら、高度成長からバブル、そしてBSE問題まで、さまざまな時代をすごして一代で財産を築き上げた男の生き様が活き活きと語られている。著者はノンフィクションライターとしてこれまで何冊もの本を執筆しているので、文体や描写もうまく、非常に読みやすい。人からおススメされて読んだが、思った以上によい作品だった。2017/09/08

いつでも母さん

233
人の上に人を造らず人の下に人を造らず・・って言ったのは誰でした?【エタ】という言葉は知っている。【同和】は触れてはいけない言葉だった気がする。自分に明確な答えを持たないから目を逸らしてたんだ。本作は「人間は、己の実益が絡んでこそ本気になる」と言う上原龍造の人生がここにあった!もうそれだけを言いたい。『路地の子』とは心をえぐられるようなタイトルだった。その息子である作者の、父への愛憎と故郷・更池への自負を読んだ。カバー写真の龍造の働く背中が好い。2019/08/14

kinkin

138
一気読み。路地と呼ばれる被差別地区で育った著者の父が描かれている。まず牛の屠殺の様子が活き活きと伝わってくる。以前「屠場」という本を読んだとき屠殺ということがどういうものか聞いてはいたが具体的に写真で見るのは初めてだった。肉から発せられた湯気がもうもうとするなかで立つ職人がこの本に出てくる龍造と重なった。その龍造が成長し仕事、家庭、友人・知人との間で起こる様々な出来事と共に語られてゆく。とても力強い会話だと思う。文章にもリズムがあって大きな太鼓の音が聞こえてくるように感じた。図書館本。2017/10/05

ちょろこ

122
知らない世界を知ることができた一冊。著者の、食肉業でのし上がった父の生きざまを綴った物語。エネルギッシュな主人公に引っ張られるかのように一気読み。屠殺の仕事、被差別部落、同和利権…と、知ることもなかった世界、考えたこともなかった世界、血と熱と金が溢れる世界を初めて知った。屠殺シーンは衝撃だったし、イメージしていた同和という言葉をひっくり返すような裏の姿も衝撃的。おわりに綴られた著者の言葉もなんだか良かった。この作品、父を描くことであの時の父、自分を客観的に見つめ向き合えたのかも、そんなことを感じた。2019/07/06

harass

96
被差別部落出身の著者による、食肉業で成功した父を描いたノンフィクション。強い差別意識に挫けず、商売で成り上がろうとする暴力的だが筋を通す父と、同和利権を利用し暗躍する連中たち。読んでいて梁石日「血と骨」を連想。知られざる食肉業の実態と移り変わりにいろいろ感心。一般世間から外れた社会ゆえの過剰な激烈さ。日本のタブーといってよく、語られることの少ない世界を描く良書。おすすめ。2019/01/21

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