出版社内容情報
ドン・ファンと呼ばれた老資産家殺しは元妻が真犯人なのか、彼女は拘置所から私を操るのか。「銚子のドン・ファン」の異名をもつ好色な老資産家が死んだ。殺人罪で起訴されたのは、結婚したばかりの55歳下の若妻――。接見を重ねる新人女性弁護士は、被告の曰くありげな言動に翻弄されつつ、不可解な示唆と時に鋭い指摘に誘導されるように、事件の真相に迫っていく。異様な感動へ跳躍する新たな実話系ミステリー。
内容説明
好色な老資産家殺しの真犯人は元妻なのか。それとも彼女は拘置所から私を操るのか。接見を重ねる度に、新人女性弁護士は疑惑を深めていた。被告は本当に潔白なのか、それとも―。「銚子のドン・ファン」の異名を持つ老資産家殺しの罪で起訴されたのは、結婚直後だった遙か年下の元妻。被告の言動に翻弄され、不可解な問いと時に鋭い示唆に誘導されて見たものとは?異様な感動へ跳躍する書下ろし長編ミステリー。
著者等紹介
前川裕[マエカワユタカ]
1951年東京都生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院人文科学研究科修了。専門は比較文学、アメリカ文学。法政大学国際文化学部教授を長年務め、現在は名誉教授。2012年『クリーピー』で第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家として本格デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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itica
66
モデルは「紀州ドン・ファン死亡事件」だ。この事件はかなりインパクトがあったので、事件と別物、単なる小説と考えるのは難しかった。逮捕された(ドン・ファンの)妻の弁護をする事務所で、妻への接見を担当する若い女性弁護士、森本の調査が中心となり展開する。妻の無実を信じ切れずに矛盾を抱えながら、一癖も二癖もある関係者を相手にするのは想像するだけで大変そう。本来の事件は二審控訴中でまだまだ時間が掛かりそうだが、どんな結末を迎えるのか興味が湧く。 2025/03/06
hirokun
45
★4 実際にあった有名な事件に触発され書き起こされた小説との事で、最初はあまり期待しないで読み始めたが、推理小説としても人間の心理を表現した小説としても楽しむことが出来た。最近も裁判の状況が報道されていたが、新聞報道を読んでいる限りにおいては、状況証拠のみでよく検察も起訴したと思う。世の中の流れを忖度し、起訴に踏み切ったと思われるような案件。2025/02/24
チャッピー
39
紀州のドン・ファン事件を元ネタにしたストーリー。掴みどころの無い被告人の若い元妻は実物のイメージに近い。被告人と同じ歳で話やすいだろうと担当弁護士に抜擢された森本さんがあまり共感できないタイプの人だったが、話はフィクションとして楽しめた。2025/04/25
YUUUUMI
19
殺人罪で起訴された55歳年下の妻•由起。その妻の弁護士である由起と同じ歳の森本里奈は、由起に対して苛立ちや不快感を隠せない。同じ年齢の二人であるが、生きてきた道は全く違い、対照的な二人のバチバチした描写や、資産家である野島の行動が浮き彫りになっていく様子はまるで一時期ニュースを騒がせていた実際の事件のようだ。野島を軸に様々な人物が登場するミステリー。2025/03/15
夜明けのランナー
16
あの事件は何だったんだろか。報道は世間に何を伝えたかったのだろうかと、今さらながら考えてしまう。不条理な出来事は、この世の中は沢山あって、それは闇の中に葬られたり、事件となって明るみに出たりと。金と欲望。どちらも必要はないと言えば嘘にはなるのだけど、、、。2025/03/10