出版社内容情報
「圧倒的な映像」「手練れの職人」「余生を振り返る」って何か変?言葉のプロ、新潮社校閲部長が奥深い日本語の世界にお連れします。
目次
第1章 校閲よ、こんにちは
第2章 調べ方の調べ方
第3章 ルビは難しい
第4章 鳴呼!漢字
第5章 仮名づかひ今昔
第6章 グローバル時代の翻訳
第7章 その日本語、間違ってます?!
第8章 その日本語、ヨロシイ?!
第9章 死語の世界
第10章 出版と日本語と校閲と
著者等紹介
井上孝夫[イノウエタカオ]
1954(昭和29)年神奈川県生まれ。新潮社校閲郎・部長。東京大学文学部言語学科卒業。著書に『世界中の言語を楽しく学ぶ』。漫画・イラストでは「にいがたマンガ大賞」第二回ストーリーマンガの部、第五回コママンガの部で各々最優秀作品賞、2002年読売新聞北陸支社「高橋尚子似顔絵展」最優秀賞、「沢の鶴4コマ漫画大賞」第四回大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
emi
33
そのクオリティの高さで有名な新潮社校閲部。その部長・井上孝夫氏が綴った校閲についての本。校閲中心ですが、日本語が好きな人も楽しめる本です。言葉を調べるって奥が深い。翻訳だって、母語というしっかりとした土台なく訳すことはできません。部長曰く、校閲は服の裏地を作る職人のようなもの。外からはよく見えない。しっかり出来ていて当たり前。でもその出来具合で本物かどうか分かる人には分かる、と。日本語の研究者ではなく、一般読者の先遣隊であり、言葉に対して素人であることのプロ。私にとっては大変勉強になる本でした。2015/03/07
魚京童!
26
一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む。2015/02/05
tomi
25
新潮社の校閲部部長による日本語の本。校閲の現場の苦労話から気になる日本語のあれこれまで、著者自身のマンガ入りで解りやすく書かれている。ルビの振り方一つとっても、どこまで振るかの基準や旧仮名遣いのルビを新仮名にするかどうかなどの判断の難しさ。ルビの活字は活版印刷の名残で小字を使わないが「足寄(あしょろ)」は「あしよろ」になり、間違っていると指摘されたとか。新潮社では近年著者の希望で小字を使用できるようになったが、従来通り小字を希望しない作家が多いとの事。2014/09/21
G-dark
21
校閲の仕事の大切さが伝わってくる本。たとえば、漢字の使い分けもルビの振り方も送りがなも、正解がたった一つというわけではなく、文の内容などからああでもないこうでもないと検討を重ねて決定をするというから、その手間暇には頭が下がります。「校閲ってのはさ、つまり…服の裏地を作る職人みたいなもんだ。外からはよく見えない。しっかり出来ていて当たり前。でもその出来具合で本物かどうか分る人には分る」(P188から引用)という、裏地にたとえているのがとても分かりやすい。校閲者さんたちの丁寧な仕事ぶりを尊敬します。2017/05/28
山猫
11
「校閲ブーム」(?)の起きている今日なればこそ発行されたかのような一冊。 新潮社からのものだが、○ドカワあたりの「言葉の素人のプロ」以下の校閲・編集担当どもは著者の爪の垢を煎じて飲ませてもらうべきだ。2017/01/26