出版社内容情報
桶狭間に城を築いてみせる――暗闇でその僧は信長に囁いた。修験規矩術を駆使した突貫工事。織田軍電撃勝利の定説を覆す時代小説。
田楽狭間山に砦を築いてごらんに入れる――その修験者は、信長にそう囁いた。民衆には村の存亡がかかっていた。織田方は幾層倍の今川軍の侵入に浮足立っていた。その渦中に巻込まれた金峯山寺の修験僧る――天の気を読み地の意を汲むその男は、信長の懐に飛び込んで秘策を明かし、持ち前の規矩術を駆使して突貫工事の先頭に立った。戦国の覇者を産んだ電撃戦を、通説を覆しつつ描く波乱万丈の時代小説。
内容説明
領民には村の存亡がかかっていた。織田勢は今川の大軍の侵入に浮足立っていた。その渦中に居合わせた金峯山寺の修験僧―天地の気を読むその男は、秘策を携えて清洲城に忍び入った。後は信長の器量次第だった。規矩術を駆使し、日に夜を継いでの突貫工事。死中に活を得た信長は、電撃的勝利の瞬間から覇王へと変身を開始した…。安易な通説を打破し、秘境を踏破した足とサバイバル知識で組み上げた、驚天動地の時代小説。
著者等紹介
阿郷舜[アゴウシュン]
1948年、東京生まれ。有形・無形文化財および仏教美術関係の雑誌編集者を経て、2010年に『六道の鬼にござれば』(並木書房)で小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
73
桶狭間の戦いを題材にした骨太の歴史小説。戦いの舞台となる山間の自然を開拓しようとする元武士の農民たちと、そこに居合わせた修験者の視点から、こうだったかもしれない戦いの現実を描いたのが良かったと思う。田楽狭間山の自然と、そこを開拓するための農事業が、大きな伏線となってクライマックスへ。あちこちから、スパイとして送り込まれる人たちの存在も現代的だったりする。2018/01/07
もえたく
9
桶狭間の戦いを寺忍、農民の視点から描いた骨太な歴史小説。荒削りな筆致で読みにくいところもありましたが、薬草学や土木学の知識がある修験者が寺忍として、やむを得ず戦いに巻き込まれていくのは面白い。続編もありそうな気が。2014/10/30
mushoku2006
6
タイトル等を見た時は、 奇想天外な内容のものかと思い、 正直読むのを遠慮しようと思ったけど、 たまたまその日の新刊本にめぼしいものがなかったので借りてたもの。 しかし、思いもよらず、予想外に面白い、大変な拾い物でした。 これほど地に足がついた内容の歴史小説だったとは・・・・・・。 題が失敗な気がしますよ。 いや、かなり奇想は入っていると思うんですが、 著者のキャリアに基づく深い見識が、 そう思わせないだけの説得力を生み出しています。2013/02/10
ソババッケ
4
大和国吉野山金峯山寺の修験者・覚應は、金峰山寺を統べる澄覚検校から直接指示を受ける寺忍である。今川と織田の戦の趨勢を見定めよとの命により、尾張国愛智郡へ赴いたが、その地で新たに農地を開墾し、村を興そうとする農民の集団と知り合う。この村を守るために織田方に味方すると決めたのだが・・・。今川義元を桶狭間に足止めし、そこを織田方に襲わせる絵を描いた覚應。ユニークな発想で桶狭間の顛末を描いてはいるが、せっかくの秘策が光らないのは惜しい。水流に関連する周囲の地形を詳述しておくべきだったと思うのだが・・。★3.22013/04/10
maren
0
ちょっと登場人物に広がりがないかな。もう少しあつみがあればいいな2013/02/24