出版社内容情報
絶体絶命。待ったなし。人生最大の危機をどう切り抜ける? 愛する女を奪われ、失った呉服屋の主。その悔恨と諦念……「鴨」、懐かしい村へ帰る。母のわがままに秀吉は……「さいごのおねがい」、赤穂浪士の討ち入り当日。隣家では……「おとなりさんちのかたきうち」など、善も悪もない、ただひたすらに生き抜いた名もなき人の物語。陰に隠れた人々の生死を懸けたさまざまな〝覚悟〟を、鮮烈かつ詩情豊かに描き出す珠玉の作品集。
内容説明
絶体絶命。待ったなし。人生最大の危機をどう切り抜ける?善も悪もない、ただひたすらに生き抜いた名もなき人の物語。歴史の陰に隠れた人々の存亡を懸けた“覚悟”を、鮮烈かつ詩情豊かに描く珠玉の作品集。
著者等紹介
矢野隆[ヤノタカシ]
1976年、福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞。以後、時代・歴史・伝奇小説を軸に、多彩な作品を発表している。’21年『戦百景 長篠の戦い』で第4回細谷正充賞を、’22年『琉球建国記』で第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。ゲームやコミックのノベライズも多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
125
短編集。テーマは『覚悟』ん・・ん、惜しい。正直言ってもうちょっと何か・・なにか物足りなさを感じた7話だった(当方比)何かって何?と突っ込まれそうだが(汗)そんな中で『秘事』『抜ける』と忠臣蔵・吉良邸の隣家を綴った『おとなりさんちのかたきうち』が好かったかな。秀吉と母や伊達政宗と母を描いたのは、私の中のイメージが崩れずに残念。2024/06/27
NAO
53
進退窮まった状況に置かれた者たちを描いた7つの話。「秘事」必要以上の税に喘ぐ村が生きるために作った隠し田を見逃し続けた役人。2代に渡っての秘事は、後継ぎがそれを知るシチュエーションはおなじだがその後の対応は真逆。代が代わると考え方もこうも変わる。「母でなし」 伊達政宗と母親の確執。ここまでこじれてしまうともうどうしようもないが、母親の覚悟も政宗の覚悟もあまりにも厳しく悲しい。「おとなりさんちのかたきうち」赤穂浪士の敵討ちに翻弄される吉良邸の隣家。他の作品と違って、ちょっとユーモラスに描かれている。2024/08/17
rosetta
30
★★★☆☆アンソロジーを除いてこの作家さんの単著は『琉球建国記』以来二冊目。七つの短編集。実は新撰組物は好きでは無いので展開の無さも相まって「鴨」が退屈極まりない。辻斬りされた幽霊の一人語り「忘れ亡者」が落語か一人芝居みたいで面白い。豊臣家の家庭の事情「さいごのおねがい」と吉良上野介の隣家の旗本が迷惑を受ける「おとなりさんちのかたきうち」も見てきたような嘘でそこはかとなくユーモラス。まあ、全体的に繰り返しが多くて話が長いのでもうちょい手短にまとめて欲しい。それとも時代物ではこのタルサも必要なのか?2024/06/25
ekoeko
3
「秘事」、「鴨」、「抜ける」、「忘れ亡者」、「母でなし」、「さいごのおねがい」、「おとなりさんちのかたきうち」7編の短編集。伊達政宗の母の「母でなし」、赤穂浪士のお話の「おとなりさんちのかたきうち」がよかった。 2024/05/29
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2024年4月初版。初出「小説宝石」2018年7月号、19年9月号、20年6月号、11月号、22年1・2月号、10月号、23年5・6月号。加筆・修正。人生の岐路にたった時の『覚悟』を描いた七編の短編集。咎人・市井人から伊達政宗・赤穂浪士討ち入り・関白秀吉迄様々な舞台でした。2024/08/06