出版社内容情報
鉄道という「線」を辿れば多様な日本の姿が見えてくる。古代から現代まで地域に埋もれた歴史の地下水脈を幻視するマジカル・ツアー!
内容説明
古代から現代まで、地域に埋もれた歴史の地下水脈を幻視するミステリー・ツアー!
目次
1 小田急江ノ島線とカトリック
2 二つの「常磐」―「ときわ」と「じょうばん」の近現代
3 軍隊が消えた街―旭川の光と影
4 古代・中世・近代が交錯するJR阪和線
5 日蓮と「房総三浦環状線」
6 「裏」の山陽をゆく
7 神功皇后と継体天皇と北陸本線と
8 聖母=ショウモから聖母=セイボへ―神功皇后・マリアとJR筑肥線・松浦鉄道
著者等紹介
原武史[ハラタケシ]
1962(昭和37)年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。放送大学教授、明治学院大学名誉教授。専攻は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)、『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
88
前著『地形の思想史』で「空間」こそ日本の思想を生んでいたと新境地を開いた著者が、そこに線(鉄道)を持ち込み天皇と宗教の隠れた関わりに迫る。ただ、鉄道に乗りたい、土地の美味しいものを食べたいという浅はかな考えでは断じてない(…と思う)。それはともかく、小田急江ノ島線沿いに女子修道院「聖心の布教姉妹会」と聖園女学院というカトリック世界と皇室との深い繋がりを追い、千葉の外房線・天津小湊の日蓮宗大本山・誕生寺および清澄寺で、宮中の女性達の寄進の品々を目にし、明治天皇の生母や大正天皇の生母らの日蓮宗への帰依を語る。2020/11/09
Koichiro Minematsu
51
鉄オタの本といえば本だが、鉄道という線でつながった沿線にある宗教と天皇の歴史本。鉄道の旅の仕方も本書のような訪問が交通輸送手段だけでなく、もっとあって良いと思った。2023/05/28
ころこ
28
前著『地形の思想史』では、土地と人間の気質ともいうべきものが混然一体となって日本の宿痾ともいえる思想にぶつかり、思考することで克服する思想もまた生まれるということが論じられていました。今回はそこに鉄道という「線」が引かれます。象徴性の強さと客観化の困難にある「面」に対して、物理的な「線」が引かれることによって、それが特定の人に対して訴求するのではない、ある確かさをもって読者に迫ってきます。著者にとっての「面」とは土地であると共に国家の象徴性であり、その土地を訪れることで見え隠れする天皇のことです。ライフワ2020/10/30
Porco
17
サブタイトル通りのテーマの旅エッセイ。原氏は文章がうまくて、ぐんぐん読めます。2021/11/25
犬養三千代
11
朝日新聞の読書欄で、見つけた一冊。予約から貸出までけっこうな時が。阪和線は馴染みふかいので面白かった。古墳結構ある。裏の山陽も面白かったです。神功皇后(架空の人かも)の事績もなかなかのものでした。2023/03/29