廃炉―「敗北の現場」で働く誇り

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廃炉―「敗北の現場」で働く誇り

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  • サイズ 46判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103320920
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0095

出版社内容情報

福島第一原発では40年かかる廃炉作業が今日も続く。最先端の技術と使命感を胸に、現場のしんがりを務める人々の熱き想いを紡ぐ。

内容説明

福島第一原発では40年かかる廃炉作業が今日も続く。最先端の技術と使命感を胸に、高放射線量の下、数多の困難を乗り越える技術者。彼らを支えるバックヤードの人々。福島を離れまいと異動を拒む官僚。「加害者」になることを厭わず、東電を選んだ新入社員たち―。逆境の中、しんがりを務める彼らの、熱き想いを紡ぐ。

目次

第1章 福島に留まり続けるある官僚の決意
第2章 四号機を覆え
第3章 イチエフのバックヤードで働く人々
第4章 高線量瓦礫は夜運ばれる
第5章 廃炉創造ロボコンの若者たち
第6章 東芝の二人
第7章 事故後入社の東電社員たち

著者等紹介

稲泉連[イナイズミレン]
1979(昭和54)年、東京生れ。早稲田大学第二文学部卒。2005年『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』(中公文庫)で第36回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ちゃちゃ

103
東日本大震災、福島第一原発事故から12年。被災地ではインフラの整備は大きく進んだようだが、30年とも40年とも言われる廃炉に向けた取り組みは先が見通せない。放射能という見えない敵を相手に、国内の叡智と技術を結集し、失敗が許されない現場で極度の緊張を強いられる未知の仕事に挑む人々。官僚、現場の技術者、東電の社員…。未曾有の危機に微力でも貢献したいという使命感が彼らを支える命綱だ。「廃炉という仕事は本質的に子どもたちのためのもの」という言葉が印象的。次世代に負の遺産を残さないためにも再稼働はあってはならない。2023/03/11

trazom

93
福島第一原発の廃炉作業に関わる様々な人たちを描くルポ。冒頭に登場する経産省の木野正登さんに驚く。「この現場は様々な企業の高い技術に支えられている。彼らには、国の担当者として本当に感謝している」と言い「一生、福島において下さい」と人事希望を出し続ける姿は、国会中継で見る官僚たちの醜態の対極にある。こういう人たちの「使命感とやりがい」だけに依存する現実がある。東京電力は、作業環境を向上させ「普通の現場」にしようと言う。しかし、廃炉の現場を「普通の現場」と呼んだら、血と涙と汗が矮小化・隠蔽されるような気がする。2021/04/01

Willie the Wildcat

76
様々なSMEが導き出す最適解に対する世間からプレッシャー。鹿島建設・岡田氏が語る高線量瓦礫処理でミスした熟練者の再作業成功時の件はグッとくる。「高線量廃棄物処理」vs.「普通の現場」の差異の件も印象的。後者を口にした方も他意はないと推察するが、終盤登場する東電新入社員の下川・白井両氏の決意・思いの純粋さがより引き立つことにもなる。一方、随所に垣間見るメディアの齎す心理的影響。”べき論”が全てではない世の中、何をどのように伝えるのかは要再考。廃炉を見届ける先に見出す何か、これが現場の誇りという感。2021/07/02

きみたけ

52
著者は、2005年「ぼくもいくさに征くのだけれど一竹内浩三の詩と死」で第36回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した稲泉連氏。廃炉作業が今日も続く福島第一原発で、最先端技術と使命感を胸に数多の困難を乗り越えた技術者や、「加害者」になることを厭わず東電を選んだ新入社員がいる。稲泉氏による長期にわたる丁寧な取材で、廃炉作業に携わる様々なスタッフの本音や職業観を聞き出した渾身のルポ。これまで読んできた事故当時の危機対応や原発近隣のレポートとはまた違う角度のアプローチでした。廃炉はとても大変な仕事だとの印象でした。2025/05/19

しげ

36
廃炉までの長く険しい道のり30年とも40年とも、震災後から10年で要した費用13兆円、最終的には40兆〜80兆円必要との試算も、何にせよ途方も無い期間と予算が必要…ネット記事で事故後、東京電力へ入社する人の事を知り入社動機とモチベーションとは?と思いましたが、残念ながらその部分の取材は薄い感じでした。本編で取り上げられた役人、学生、協力企業、東京社員の方々、立場はそれぞれですが「想い」には考えさせられます。其れらは意地やプライド、責任感と言うよりも各々の存在意義を問う静かな戦いに感じ心強く思えた。 2022/10/01

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