出版社内容情報
恋が、私の身体を変えていく――ベストアルバム的短編集、ここに誕生! 彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。
内容説明
彼の身体よりもソファの肌触りを愛する女。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変えていく―「女による女のためのR‐18文学賞」受賞作「花に眩む」を初収録。原点にして頂点。ベストアルバム的短編集、ここに誕生。
著者等紹介
彩瀬まる[アヤセマル]
1986年千葉県生まれ。上智大学文学部卒。2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。13年に小説としての初の単行本『あのひとは蜘蛛を潰せない』を上梓。17年『くちなし』で直木賞候補、18年同作で第5回高校生直木賞受賞。21年『新しい星』で直木賞候補。23年には本書所収の短編「ふるえる」がイギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載、『森があふれる』の英語版が出版されるなど海外でも高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
299
彩瀬 まるは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、フェティシュ恋愛短篇集でした。オススメは『なめらかなくぼみ』&『二十三センチの祝福』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/331965/2023/06/14
fwhd8325
183
どの作品もとても艶めかしいのだが、まとわりつく感じではなく、さらっとしている。脳を刺激するような音楽が聞こえます。とても官能的で素敵な時間です。2023/06/26
しんたろー
172
初期作も含めた6作の短編集…妖しく優しいファンタジーが散りばめられ、悲哀・慕情・色気が程よいバランスで少ないページに凝縮されている。この要素がデビュー作から色濃くあったのは知らなかったので「なるほどね~」という想い。日常生活の些細な、でも大切な感情を上手に言葉にするのも彩瀬さんの真骨頂とも言えるし、詩的な響きに感じる部分を読み返すのも楽しい。『マイ、マイマイ』と『ふるえる』の「伝わらない気持ちのもどかしさ」は青春時代を振り返り、懐かしくもあった。『花に眩む』の受賞は、その後の活躍が納得できる内容に思えた。2023/05/27
のぶ
172
本作には六つの短編が収められているが、どれも純文学的な雰囲気が漂って、自分には取っ付きにくかった。どの作品も女性が主人公になっていて女性の視点で、主に主人公が交際した男性との触れ合いを描いているが、どうも文章が心に響いてこない。おそらく自分の読解力の問題だろう。賞を受賞したという「花に眩む」は彩瀬さんのデビュー作だったのですね。その他の話は2020年前後に発表されたものだが、10年経過しても心理的な表現はそんなに変わっていない。彩瀬さんの本は十冊目だが、本作ほど分かりづらかったのは初めてだった。2023/04/07
貴
162
愛し合うパートナーながらも、親友になる。親友は支え合い、がまん強く親切で、欠点を補い合い、真剣な話や、笑ってふざけることもある。2兆個も存在する銀河のなかには、そんな素敵な植物の星も、きっと存在している。2023/06/20