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月のさなぎ

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103286219
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

森の学園に隔離された性別のない生徒たち。突然の恋と逃避行、謎の死体、礼拝堂に響く歌声――。大人になる前の一瞬を描ききる、はかない箱庭のミステリー。

内容説明

森の中の学園に隔離されて育った、性別のない子どもたち。成人するにつれ性別が確定し、ひとり、またひとりと巣立っていく。年に一度の降誕祭を前に「学園の貴公子」と称される薄荷は、外界から侵入してきた少年と恋に落ちた。森への逃避行、フラッシュバックする記憶。17歳の身体と心は、意思とうらはらに変わりはじめる…。第22回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

著者等紹介

石野晶[イシノアキラ]
1978年生まれ。岩手県立伊保内高校を卒業後、2007年に『パークチルドレン』(筆名:石野文香)で第8回小学館文庫小説賞を受賞。2010年、『月のさなぎ』で第22回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。岩手県九戸郡在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

財布にジャック

90
先日読んだ短編集「Fantasy Seller」の中で一番良かった「スミス氏の箱庭」を書かれたのが石野さんだったので、さっそくこの作品を読みました。不思議な雰囲気の独特な設定のファンタジーで、耽美で魅惑的な作品でした。登場人物の殆どが中性的で、そして隔離された学園という舞台で、宗教チックで、個人的にはかなり好みでした。オチはある程度予想がつきましたが、でも切ない気持ちにさせられました。この作家さんこれからも期待大です!2011/07/10

ちはや@灯れ松明の火

73
月が満ちては欠けていく。さなぎの中に微睡むこどもたちへと、天から時を降り注いで、その透明なからだを色染めて。鮮やかに、残酷に。見果てぬ空に馳せた未来、言い知れぬ不安、塗り潰される淡い憧憬、外から吹き込む不吉な風、掴めない冥き眼差し、深い森の底を浸していく。絡みつく甘い香り、突き刺さる苦い棘、さざめく感情が透きとおっていた心に消えぬ文様を刻みつける。感じる痛みは生きている徴。望み通りの色でなくとも、さなぎを破って、空へと広げる自分だけの翅。滴る月の雫は白銀の雨、目覚めかけたこどもたちへと、微笑みかけて。 2011/04/25

nyanco

67
月の大姉・サラ様を敬い、人里離れた寄宿生学園で暮らす月童子と呼ばれる性別未分化の6歳から18歳までの子供たち。思春期ともなれば恋心も芽生える、しかし、自分は女になるのか男になるのか…。未文化であるが故の透明で淡い彼女たちの存在とその想いが実に魅力的。大好物な学園もの、おまけに世界観がこんなに見事に表現されていて、何処にも無駄がない文章と構成…、暫しウットリしてしまいました。小麦の薄荷への想いや、ミューズに愛された空の圧倒的な魅力…そしてこの学園と月童子という不思議な存在の謎…。続→2010/12/03

そのぼん

64
性別のない子供たちが隔離された世界―。彼らが過ごす森の奥に隔離された空間が舞台の物語でした。とことんファンタジー的な世界で突き進むのかと思って読んでいましたが、途中妙に血なまぐさい部分もあって、驚きました。 そのせいか、ジャンルとしてはファンタジーに入るのだと思いますが、余りに若年層には受け入れられないかな、と感じました。2012/06/27

63
性別の無い子が集まる、隔離された学園。特別不自由もなく、安全な枠内に収まったとして。何も知らないまま生きるほうが楽だろう。でも気付いてしまった。望むのは自分の力ではどうしようもない位、振り回してくれる何か。森や歌声、光の描写も清らかで強い。空の、愛さなくてもいいから出来るだけ深く傷付けて欲しい、という感情にひどく胸が締め付けられる。どんな形でもいいから痕を残してと思えるほど、人を想う。どんどん色が付いていく空の視界を間近で見る。何も怖くない気がする。それくらい、想いは人を強くする。しずかの海のように。2012/02/20

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