内容説明
男として生まれた。でも、きれいな女の人になりたいな―。蔑みの視線―。親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。リスペクトがあるからこそ、想像力のリミッターを解除できた。事実と虚構の化学反応が生み出す、過酷で、美しく、孤独で、切なく、劇的で、潔く、笑えて、泣ける、ザッツ・エンターテインメント!
著者等紹介
桜木紫乃[サクラギシノ]
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。ほかにも多数の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
449
カルーセル麻紀をモデルとして、自伝でもこれまで語られなかった幼少期から書き起こされている。「化け物」「偽物」…世間からも家族からも蔑まれ、拒まれながらも生きてきた。男から女になりかけ、だから「なりかけ」という屈辱のあだ名で呼ばれる。しかし、男でも女でもない「この世にないものにおなり」と、花街の女に言われた一言が生き抜くエネルギーとなった。「本当の美人ってのは、男顔なんだ」主人公だけでなく、私もつい納得してしまう。それが”彼女”の生き方なんだ、とつい肯いてしまった。 → 続く2020/03/09
starbro
368
桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。成田空港への高速バスと待ち時間で読了しました。いつの時代もパイオニア&マイノリティは、辛いという事でしょうね。カルーセル麻紀、青春緋桃色物語、著者でなければ書けなかった作品かも知れません。2019/08/14
ウッディ
231
カルーセル麻紀さんをモデルにした小説。性同一性障害やLGBTという言葉もなかった時代の偏見に満ちた田舎町は、彼女にとって生きづらい世界だったことは想像するまでもないが、姉や親友に支えられ、自分らしく気高い生きざまは感動的で、当時のLGBTの人達に胸が痛みます。人と違うことで屈折するのではなく、美しく生まれたことに感謝し、「あたしはあたしになりたい」と言い切る強さと潔さに人は惹きつけられるのだと思う。ゲイの先輩の末路や帰省時の母とのシーンにウルウルしながらも、勇気をもらえる一冊でした。面白かったです。 2019/12/24
うっちー
220
秀雄の前向きさと周りの人の暖かさに感動!2019/07/16
fwhd8325
179
子供の頃、テレビで見ていたカルーセル麻紀さんは、異形の人だったと思います。男でありながら、あの美しさや色気は、子供の私にはすでに性の壁を越えた存在だったのかもしれません。ありきたりの物語したくなかったとありますが、前半のベースとなる過程がやや長く感じます。後半分は面白いのですが、本来歩んできた道より薄く感じてしまいます。小説の題材として、とても魅力がありますが、やや物足りない印象が残りました。2019/12/05
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