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内容説明
美しい絵だけが絵なのか?甲斐庄楠音の忘れ去られていた作品群は、我々を根底からえぐる。不条理な肉体存在である人間を見据える冷徹な眼差しが、そこにはある。その厳しさゆえ、1度画壇注視の人となりながら、大正15年作「女と風船」で楠音は“穢い絵”の烙印をおされた。その日以来、画家は穢い絵で綺麗な絵に打ち勝たねばならぬと胸中深く刻み込む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
7
再読、画集を観る参考に。2013/04/13
むさみか
4
まだ若いときに名声を得 しかし 自身の絵を「穢い絵」と 評されたことを生涯気にしています 一度は 少し絵の道から離れ なんと映画の世界に 溝口監督と出会い 映画の時代風俗考証をします 着付けや所作を指導し 衣装も手掛けています なんと アカデミー衣装デザイン賞にも ノミネートされているんですよ そして 晩年はまた絵の道に力をいれ なんと 初個展が82歳 83歳でお亡くなりになりました とまぁ 絵の魅力以外にも 甲斐庄楠音の人生に迫った 面白い評伝でした 2021/11/05
散歩いぬ
4
久世光彦「怖い絵」で甲斐庄楠音を知った。岩井志麻子「ぼっけぇ、きょうてぇ」のカバー画に使われているので見たことがある人も多いだろう。大正時代、西洋化と自由主義の波は京都の日本画壇にも訪れた。その中で暗いルノアールのような女性の肉体を描いたのが甲斐庄である。あまりに従来の日本画から乖離しているため「穢い絵」と言われ、展示から外されたこともあり、それについては終生悔やしく思っていたようだ。これは絵を批判した画家との女性観の違いから来るもの。つづく2012/04/03
gtn
2
氏の作品「二人道成寺」の印象が強烈であったため、本書を手に取る。京都で煮しめたような人物である。だから、作品も混じりけなしの「京もの」であり、他の批評を許さない。2018/03/27
toshiyk
1
『ぼっけえ、きょうてえ』の表紙絵『横櫛』を描いた画家の伝記。京都国立近代美術館に飾られていた『歌妓』のカラッとした美しさに興味を惹かれたのだが、『横櫛』のように怪しく、あるいは裸婦や芸妓を肉感豊かに描き、画壇の先輩に「穢い」と蔑まれたという初期の作風こそが本領、という内容。京都の名家の生まれで、亡くなるまで粋人として生きた人。画家の優れた記憶力で明治末期の京都での生活を偲ぶ文章は読みどころ。大正京都の画壇が、先輩と後輩ともに敬語でやり取りしているのも雅な感じがした。2018/06/01