内容説明
桜散る公園で私が四十年ぶりに出会ったすでに白髪の同級生、二十代を共に過した別の友人。三人の男たちの出会いにたどる子供の頃の空襲の記憶、高校時代に遭遇した自殺の記憶、纏いつく様々な生と死の思い出、死者との対話に甦る融通無礙の時間…。現代の、滑稽と凄惨へ振れるすれすれの境、生の営みのなかの狂気と正気、夢と現の狭間に踏み入る独自の世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
3
ふむ2024/04/13
ユ-スケ
1
読んだのは新潮文庫版 フィクションなのか私小説なのか、あいまいでありながらこの世界観の構築はさすが、と唸った 使われている言葉の一つ一つが繊細で深い なのでそれらを咀嚼しながらの読書には時間が掛かる が、それこそが著者の真骨頂なのだと思う 2023/06/09
龍國竣/リュウゴク
0
賑やかな話だった。周囲の存在が淡々と語っていると、果たしてこの人たちは本当に居るのだろうか、と訝る気持ちになる。そこに、飛行機事故、飛び込み自殺、震災、サリン事件と死が累々と重なっていく。地の文にふと表れる激しさが恐い。いずれの篇も終りの文がとても良い。2013/02/18
ぱらっぱ
0
主人公の作家とその友人たちの年齢は57才くらいだが、彼等の行動、主人公の述懐など考えると老衰状態の超高齢な人に見える。こんな悲惨な読みものはもう勘弁して欲しい。2012/07/09