電車道(でんしゃみち)

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  • サイズ B6判/ページ数 248p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103177128
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

そこで彼らが目にしたものは、まぎれもない鉄道の線路だった。鉄道開発を背景に日本に流れた百年の時間と人間の営みを描く傑作長編。

鉄道開発を背景に、日本に流れた百年の時間を描いた著者最高傑作! 橋を架け山を切り開き、四六時中ひっきりなしに電車を走らせよう。そうすればこの国の人間たちも、絶望の淵からほんの何歩かは引き戻されるはずだから――。日本の近代から現在に至る百年の時間を描き、自然災害、戦争、さらには資本主義経済と抗いがたいものに翻弄されながら、絶えまなく続いてきた人間の営みを活写した長編小説。

内容説明

男はある晩、家族を残して家を出た―また別の男は突然、選挙に立候補する。ある高台の町を舞台に、そこに流れた百年の時間と親子孫三代を軸に、自然災害、戦争、さらには資本主義経済と抗いがたいものに翻弄されながら、絶えまなく続いてきた人間の営みを活写した傑作長篇。

著者等紹介

磯崎憲一郎[イソザキケンイチロウ]
1965年千葉県生まれ。2007年「肝心の子供」で第44回文藝賞を受賞しデビューしたのち、2009年「終の住処」で第141回芥川賞、2011年『赤の他人の瓜二つ』で第21回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2013年『往古来今』で第41回泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

それいゆ

75
「トワイライトエクスプレス」の引退や北陸新幹線開業のニュースが報道されている真っ只中に、この作品を読みました。小田急沿線の物語ですが、鉄道の話には何となく郷愁を感じさせられます。しかも、百年にわたる壮大な話に圧倒させられました。リュックに犬を入れて家出した少女の行く末がすごく気になりましたが、読んでいくうちに、すべてが繋がってきました。芥川賞作家の作品なので、難しくてつまらないかもと勝手な偏見のもと読み始めましたが、意外と私の感性にヒットしてしまいました。思わぬ拾い物をした気分です。2015/03/14

chimako

58
電車にも東京方面にも疎くて「一体どこの鉄道なんだろう」と思いながら最後まで。小田急だったんでしょうか?だったら男の塾は玉川学園か……鉄道のレールがひかれる前からの100年の物語。ページ数こそ250ページ足らずと少ないものの読み進めるのに力が要った。薬屋勤めを放り出し家族を置いて逃げだした男と政界に打って出て簡単に敗れこれもまた家族を捨てて逃げた男が台地に住み着く。ひとりは学校を、ひとりは鉄道を作り上げる。交わらない2人はしかしその台地の変わりようを眺め続ける。漢字を多用し極力感情を排した語り口。2015/05/31

八百

29
家族を捨てて農村の洞窟に住み着く男がいる、選挙に敗れ湯治場でただ湯に浸かるだけの日々の男がいる、凍てつく真冬の京都で裸足で使いに出される丁稚の少年がいる…連作の短篇集?と思ったりするが実はいくつもの路線が集まるターミナル駅のような凝った創りになっていたのだ。明治大正昭和100年の鉄道王一族と彼らによって切り拓かれていく街の物語、独特なリズムを掴むまでに少し戸惑うが糸口を掴むと一気に流れる。ただこれだけの長編、巧さだけではちょっとしんどい。ドラマあってこそのターミナル、単なる起終点ではつまらないではないか2016/07/14

showgunn

28
丸一日かけて読んだ。何もかもが圧倒的。ここには流れていく時間と、繰り返される人間の営みが描かれていて、鉄道の発展や戦争や関東大震災はそれを描くためのネタのようなものであって、実在の場所と照らし合わせたり、登場人物のモデルが誰かを詮索することには意味がないだろう。表紙を見れば小田急線沿線のことだとわかるけど、それは読者へ取っ掛かりを与えるためのサービスのようなものだと思う。そして、作者が何を伝えたいか、などということもどうでもよくて、ここには世界の全てが描かれている、それ以上何を求めるのか、という感じです。2017/02/05

Tui

27
読み方のむつかしい物語、という印象でした。鉄道の発展とそれに伴う地域の開発を、関わった人物を軸に描かれた小説として読むと、あちらこちらに主体がずれてゆき、いったい何を書きたいんだ磯崎氏は?となってしまう。また、奥泉光の『東京自叙伝』のように地霊ならぬ‘鉄路霊’みたいなのが主人公なのかと想定してみたけど、これも違う。結局、主体も主人公もいない。鉄道の発展に触れながら、それぞれの時代を生き抜いた人々のたぎる情熱のたくましさ、微笑ましさを、段落の極端に少ない、粗い彫像のような筆致で描いた讃歌なんだな。2015/05/16

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