出版社内容情報
巨匠の最後の挨拶(カーテンコール)は、25篇もの怒濤的傑作掌篇小説集! 著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者「信じていません!」)。筒井文学の主要登場人物が打ち揃う「プレイバック」をはじめ、巨匠がこれまで蓄積した技倆と思索の全てを注いだ、痙攣的笑い、恐怖とドタバタ、胸えぐる感涙、いつかの夢のごとき抒情などが横溢する圧倒的傑作掌篇小説集爆誕!
内容説明
『時をかける少女』『パプリカ』などの主人公たちが病床の作者を訪れる「プレイバック」ほか、痙攣的笑い、甘美な郷愁、胸熱きわまる感涙等を齎す芳醇無比な掌篇小説25篇!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
225
大昔から読んでいる筒井 康隆の久々の新作です。御年89歳なので、遺作❓になるのでしょうか❓ ショートショート25篇、オススメは、『花魁櫛』&『本質』&『美食禍』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/314536/ http://shokenro.jp/2023/12/06
ねこ
171
筒井康隆89歳にして最後になるかもしれない25短編集。最初の1行から筒井ワールド全開。あー、そうそうこんな文体で書く作家だったと私の数少ない筒井作品を回想しながら感じました。「羆」(くま)のとことん情けない主人公の話。「手を振る娘」のちょっと不思議で切ない話が好きです。でも1番は「プレイバック」!入院中の筒井康隆のもとに筒井小説の主人公が訪れ言いたい事をどんどん言っていく。しまいにゃ鬼籍に入ったSF作家達が押し寄せて言いたい放題。小松左京や星新一、平井和正の性格がよく出てる。大御所作家の胆力は凄いと感じた2024/04/07
いこ
112
「カーテンコール」とは、「演劇などの幕切れに喝采して、一度退場した出演者を再び舞台上に呼び出すこと」。筒井康隆大先生は、本当にこの本を最後に表舞台から退場してしまわれるのだろうか?できれば「カーテンコール」をして呼び戻したいが…。この本は、25の小さな作品からなる。お得意の「奇をてらった」ような作品はない。でも、どこか不思議な味わいの作品が満載で、最後まで楽しませてくれる。「あぁ、私は今筒井作品を読んでいる」という感慨で胸をいっぱいにさせてくれる。そして、これで最後だと思うととても胸が痛くなるのだ。2024/02/21
ケンイチミズバ
110
最後の作品だと言いながらの確か二作目。息子さんを失い筆が折れた心の状態が分かる「川のほとり」は前回の短編でも読んだ。夢の中で会話する。父親との会話が終わったら順番なのか、母さんが来たから。というのが沁みる。青海苔県、浴衣半島、相変わらずのダジャレも。インフルで学級閉鎖、小学生の息子のいるシングルマザーの部長はやむを得ず息子を連れ出社する。が、なぜか会議の席に息子もいる。サラリーマンの無駄な会議だ。忖度したり責任を曖昧にしたり、最後はいつもの社長の鶴の一声。結論はない。息子の一言「あの人たちバカなの」(笑)2023/12/26
えか
104
米寿を越えると、もはや、SFだとか、ブラックユーモアだとか、夢の記述だとか、パロディだとかのジャンル分けは、意味を成さなくなるのですね。白蛇に魅せられた美女の話「白蛇姫」夢分析が出来るが故に、亡くなった息子さんの出る夢を冷徹に分析してしまう悲喜劇「川のほとり」公園の森の中に突然現れる居酒屋「お時さん」大柄な女中さんの不思議な半生「お咲の人生」かっぽれ節に乗せてコロナ禍の日本の兇状が綴られる「コロナ追分」ただただ、ひたすら、筒井康隆の掌編、としか言いようのない作品の数々が心地よく響いてくる。 2024/01/18