内容説明
二件の殺人を犯した男は、己の罪とどう向き合ったのか。無期懲役囚が獄中で綴った驚愕の手記。
目次
第1章 二つの殺人事件を起こすまで(在日韓国人の父、純和風の母;年収は億単位 ほか)
第2章 長期刑務所の生活(受刑生活のスタート;「反省」が分からない受刑者たち ほか)
第3章 殺人犯の肖像(上)―堅気の受刑者たち(堅気とヤクザの違い;気弱な目をした強盗殺人犯 ほか)
第4章 殺人犯の肖像(下)―ヤクザ受刑者たち(その道のスジを通すヤクザ;被害者から強烈な印象を受けたヤクザ ほか)
第5章 一生を刑務所で暮らすと決めた(もう刑務所を出なくていい…;人生で初めて「幸福」を感じる)
著者等紹介
美達大和[ミタツヤマト]
1959年生まれ。無期懲役囚。現在、刑期8年以上かつ犯罪傾向の進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で服役中。罪状は二件の殺人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Speyside
30
殺人2件の無期懲役囚本人が記した自らの生い立ちや思索の変遷、刑務所内の囚人たちの様子。月100冊以上を読破するという著者の文章は理路整然とし、一読してかなりの知性の持ち主であることが分かる。社会的にも成功していたようだが「自分の信念や契約は命よりも大事」という歪んだ思考で殺人を犯す。自身の性格や行為について冷静な分析が見られる一方ナルシシズムも感じられ、恐らくサイコパスなのだろう。刑務所内の殺人犯の多くが後悔も反省も全くしておらず、更生は不可能なので死刑制度は維持すべきとの主張に、暗澹たる気持ちになった。2022/08/02
carl
30
せっかく知能指数が高くて、目標に向かって強い意志を持ち続けられるような人らしいけど、殺人犯人なんだ。それも二人も計画的に殺してちゃ、ぜんぜん駄目だろうって感じ。2017/11/13
kinkin
27
子供の頃からIQが非常に高かったということや、文中にやたら難解な言葉「懊悩」「桎梏」「逡巡」など、私の勉強不足もあるが、もう少しわかりやすい言葉を使ってもよかったように思う。殺人犯の告白とあるが、自分の人生観や世界観、哲学的な文に、このサブタイトルは合わないように思う。 獄中から編集者に送られたとあるが、全てがノンフィクションなのか疑問もある。2014/03/03
かも
17
★★☆☆☆複雑な読了感。2件の殺人をした頭脳明晰な犯罪者の壮大な反省文。日々努力することで高い目標をクリアする姿勢は素晴らしいが、場合によっては殺人は許されると考えていた点は倫理観が狂っている。個人的に面白かったのは、他の罪人がどう考えているかを著者の視点から考察するあたり。IQ100(平均)を超える受刑者は約5%らしく、それなりの頭脳の人が犯罪者達の本音を引き出して本にするのがどれだけ珍しいことか。そんな著者曰く、犯罪者は更生しない、凶悪犯罪者の特徴は強烈な自己中心性と倫理観の欠如、死刑制度は賛成。2022/10/02
魚京童!
14
疲れてるな。諦めるしかない気がしている。殺されたら諦める。だって他人を変えることは難しい。改悛するかはわからない。だったら殺せっていう意見もあるし、ずっと塀の中に閉じ込めておくっていう意見もある。何がいいのかはわからない。火の粉がかかるなら振り払う。そんな人生ではいけないようだ。もっと積極的に関わっていく必要があるのかもしれない。たぶんやらない。誤りがある。正しさがある。信念がある。なんでもいいけど、人と人が交わるから起きてしまう。もうすぐ全面解決だ。機械に繋がれて、脳内麻薬に踊らされる世界がくる。2020/10/18