内容説明
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ―帝政を構築したアウグストゥスの後に続いた四人の皇帝は、人々の痛罵を浴び、タキトゥスら古代の史家からも手厳しく批判された。しかしながら帝政は揺るがず、むしろその機能を高めていったのはなぜか。四皇帝の陰ばかりでなく光も、罪のみならず功も、余すところなく描いて新視点を示した意欲作。ローマ史を彩る悪女・傑女も続々登場。
目次
第1部 ティベリウス(在位、紀元一四年九月十七日―三七年三月十六日)(カプリ島;皇帝即位;軍団蜂起 ほか)
第2部 カリグラ―本名ガイウス・カエサル(在位、紀元三七年三月十八日―四一年一月二十四日)(若き新皇帝;生立ち;治世のスタート ほか)
第3部 クラウディウス(在位、紀元四一年一月二十四日―五四年十月十三日)(予期せぬ皇位;歴史家皇帝;治世のスタート ほか)
第4部 ネロ(在位、紀元五四年十月十三日―六八年六月九日)(ティーンエイジャーの皇帝;強国パルティア;コルブロ起用 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
62
カリグラは東方の諸王子との交流から何を学んだろう。ローマといえども世界の一部、皇帝も一人の人間に過ぎない…とならばよいが、逆に妄想を膨らませたのでは? ゼウスを真似て金髪に染めたり、残虐な見世物に打ち興じたり。すべては神を装う自己顕示であり、民衆の歓心を買おうとする卑しい所業だ。著者は彼の言動をつぶさに観察した上で、頭のよい、けれども政治を知らない青年だという。一方、暗殺者ケレアは、長い軍務の中で「小さな軍靴」カリグラを忠実に守り続けた武人であろうと推測している。作家としての想像が混じる所も本書の魅力だ。2015/03/26
James Hayashi
37
パックスロマーナの帝国としては安定していたのであろう。50年余りで4人の皇帝。外圧に屈せず、大きな内乱も見当たらない。ガリアに兵は張り付き、パルティアにはなかなか勝てなかったが。ローマに組み込まれることにさほど抵抗を見せなかったのは、パンの配給もあり餓死者がほとんど無かったからか。カリグラは税制改革など行いポピュリズム的な政治を行うが、経済的破綻を招いた。暴君ネロは好きな女と結婚する為、母親と妻まで殺してしまう。そしてキリスト教徒迫害。それでも続くローマ帝国。奥の深い国である。2017/11/25
クラムボン
26
前巻までのカエサルと初代皇帝アウグストゥスによって、元老院と執政官による共和政が帝政に移行。政治体制の安定が「パクスロマーナ」を生んだ。今巻はその後を継いだ、2代皇帝ディベリウス・3代カリグラ・4代クラウディウス・5代ネロまで…紀元14年~68年およそ半世紀。それぞれの皇帝を見れば色々ドラマは有るのだが、対外的にはゲルマニアやブリタニカ、東方のパルティアとの戦争は有るが、領土はほぼ変わらない。属国のローマ化が進み、内政的にも体制を揺るがすほどの事件には至らず、結果的に見れば、非常に平和な時代だったと思う。2026/02/15
白義
24
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロと綺麗に生真面目と放蕩が行ったり来たりしているのが面白い。悪帝として有名なカリグラもネロも、若さゆえの活発な感性と繊細さゆえにと同情的に描き、イメージを変えるのはさすがの筆力。一方で、自分自身の評価をうまくコントロール出来ない老獪さの欠如は四人とも厳しく批判され、ティベリウスらの功を強調するほどアウグストゥス時代の圧倒的な影響力の方がかえって印象付けられるようにもなっている。ナイーブな芸術家皇帝としてのネロの姿は最期も含め物悲しさも漂う2015/04/04
ロビン
20
7巻は、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの四代にわたる皇帝たちの治世を描く。ティベリウスはアウグストゥスが創ったローマ帝政の基盤を盤石にした人物で、地味だが優れた為政者だと思うが、緊縮財政を行ったため評判が悪かったらしく気の毒だ。クラウディウスも歴史学者から皇帝になり、元老院にも誠心誠意で接し公共事業などもよく行い善政をしいたと思うが、死後セネカにパロディを書かれ笑いものにされたらしくかわいそうである。人間性とは複雑で厄介なものであり、常に誠意が通じると考えるのは甘い、との著者の認識が苦い。2022/06/27
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