春告げ坂―小石川診療記

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  • サイズ B6判/ページ数 284p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103070634
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

坂の上の養生所で、淳之祐は今日も貧しい患者と向き合う。未熟ゆえに出来ることがあると信じて。若き医師の迷いと決断、涙と希望の四季を描く傑作時代長篇。

内容説明

看護人の質は悪く、薬料にも限りがある。思うに任せない坂の上の養生所で仲間たちと奮闘する医師・高橋淳之祐。病に苦しむ貧しい人々に、自分ができることは何なのか…。思いもよらぬ形で父の死の真相がもたらされた時、彼の前に進むべき道が現れる―。爽やかな感動、真っ直ぐな誠。涙と男気が胸をうつ。江戸を駆ける青年医師奮闘記。

著者等紹介

安住洋子[アズミヨウコ]
兵庫県尼崎市生まれ。1999年、「しずり雪」で第三回長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞。2004年、中短編集『しずり雪』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Lara

71
淳之介の勤務する療養所には、働かず賭博する看護中間もいる中、まじめに働く、伊佐治、鉄平、そして、通いのお瑛ちゃん、お絹等。人に恵まれている、更に気の良い友五郎親分。なんだか恵まれ過ぎて、出来過ぎのような環境。淳之介が旅経つまでの5話は楽しめました。2024/04/18

文庫フリーク@灯れ松明の火

66
デビュー作『しずり雪』で友五郎親分と共に登場した小石川養生所の医師・高橋淳之祐が主人公。すでに『夜半の綺羅星』で友五郎親分の過去が語られ、さらに『日無坂』で物語られた伊佐次が看護中間として参加。この『春告げ坂』で『しずり雪』から始まった物語『夜半の綺羅星』『日無坂』が綺麗に結実した感がある。小石川養生所は、ドラマ『大岡越前』のイメージから、貧しい人や身寄りの無い老人など弱い立場の病人を救う場所と思い込んでいた。実態は武家奉公の中間の慣習同様、仕事は適当、夜は博打に精を出す中間も多く、→続く2012/08/06

ぶんこ

54
小石川診療所の看護中間の行状を、結局はなす術もなく・・読んでいると辛くて、一時中断していました。 家族や自分が入退院を経験した者には、読むのが辛い部分が多かったです。 一本気な淳之祐さんに伊佐次さんや鉄平くん、お瑛さんなど仲間がいてホッとする部分もありました。 そして頼れる友五郎親分が現れると、心底ホッとします。 文章も読みやすく、ハラハラしながらも最後はホッと出来る作品でした。2015/03/26

むぎじる

30
身寄りがなかったり、貧しい人々のために門戸を開いている小石川診療所。安い賃金に不満を漏らしろくに働かないものもいるなか、とにかく患者のことを一番に考え献身的に働き続ける、医師の淳之祐や、下働きのお瑛、伊佐治、鉄平・・・辛いことがあっても、笑顔を交わしあえる仲間がいる。一人じゃないと思えることは、人の心を強くする。胸の痛む事件もありながら、それを乗り越えていくさまに心が温かくなった。とにかく文章がきれいで、読みやすい作家さんだと思う。2014/01/17

としえ

29
貧しい者や身寄りのない者など弱い立場の人を救うことを理念とした小石川養成所。実際は看護人の質が悪い、限られた予算、受け持ち患者が亡くなると成績不良とみなされるなど、問題は山積みだがそんな中で治療に尽力する医師・淳之祐の姿が描かれている。養成所の問題や悲しい別れなどいいことばかりではないが、読後感は爽やか。父親のことも知ることができて良かった。堅気ではないような雰囲気をまといながらも頼りになる伊佐次をはじめ、鉄平やお瑛、友五郎親分など周りの人たちもいい味を出している。伊佐次が好きだな。続編もでればいいのに。2015/08/05

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