内容説明
「愛さなかったら孤独にすらなれないわ。大事なものをちゃんと見て。あなた方の人生はこれから始まるのだから」人生に迷うしずか、かたや順風満帆の日々に翳りが見え始めた姉の恭子―。問題を抱えた姉妹は不思議な縁に導かれ、横浜の古い洋館、ロシアン・ハウスにやってきた。そこには、戦争や国を超えて生きてきた人々の歴史と、受け継がれてゆく永遠のひかりがあった。凛とした老婦人ターニャが二人に教えてくれたものとは?小澤征良が時空を超えて紡ぐ書下ろし長篇、誕生。
著者等紹介
小澤征良[オザワセイラ]
サンフランシスコ生まれ。6歳までボストン在住。上智大学比較文化学部卒業後、メトロポリタン歌劇場の演出家デイヴィッド・ニース氏のもとでアシスタントを務めながらオペラ演出を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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b☆h
30
小澤征爾さんの娘と知り気になった作品。時々、変にカタカナ使われてたのがちょっと気になったけど、不思議な世界感に心地良い時間を過ごせた。水に揺蕩ってるような軽い非現実感が心地よくて、形容しがたい感覚。もっと他の作品も読みたい。過去は遠く感じても、自分の中に全てあるというのには強い共感を覚えた。私の理想とする弔いが描かれていたのもとても良かった。2023/11/06
お静
19
主人公のしずかの会社が潰れ賦としたタイミングで出会ったロシアンハウスでの住み込み生活。美しい姉といつも比べられていたが姉にも悩みがあった。ロシアンハウスの主のターニャの夫の没15周年の法要を通して姉妹はそれぞれ自分の明日を目指していく。偶然の出会いや繋がりは計算ではでない結果を生みだしていくものだ。 2017/08/03
ららぴぴ
9
いろんな事は繋がっていて、少し勇気を出して一歩踏み込んでみたらまた違う世界が待っている、そしてまたいろんな事が繋がる。踏み出す勇気と粋なターニャの生き方が参考になった。お姉さんの心には何があるのか、そういうところももうちょっと踏み込んで書いてほしかったな。2014/09/02
まど
8
25歳、独身、失業中のしずかが、お見合いをきっかけにいろんな人と出会っていく話。ドタバタした話でなく、ゆったりとしていて上品で心が温まるやさしい話。ターニャの作るロシア料理がおいしそう。登場するカフェや手品を見せてくれるビストロも素敵。小澤征良さんの作品は初めて読みましたが、とてもよかったです。新作も読んでみたいし、この話の続編も読んでみたい。2010/07/17
ako
4
小澤さんの作品はいつでも優しさや愛がにじみ出ていて、優しい雰囲気がありますね。いろいろな人たちと出会うことで、主人が自分を見つめ直し、つらいことがあっても乗り越えていく姿がステキ。ターニャをはじめ周りの大人も素敵な人たちで、憧れます。2010/08/28