出版社内容情報
極上の味わいは人と風土が織りなすもの。アスパラガス、栃尾の油揚げ、鴨鍋、江戸前の鮨……北海道から東京まで厳選の15品を探訪。
内容説明
アスパラガス。鴨鍋。あぶらげ―。北海道から東京まで足で巡った15の探訪記。
目次
いちごのショートケーキ―東京都淡路町「近江屋洋菓子店」
ピッツァ―東京都中目黒「聖林館」
アスパラガス―北海道江別市「杉本農産」
栃尾のあぶらげ―新潟県長岡市「毘沙門堂本舗」
駅弁―岩手県久慈市、宮古市「三陸鉄道」
日本短角種かづの牛―秋田県鹿角市「秋田県畜産農協鹿角支所」
マルセイバターサンド―北海道帯広市「六花亭」
鰻蒲焼き―東京都芝麻布飯倉「五代目野田岩」
いわしの焼き干し―青森県津軽・外ヶ浜町「ヤマキ木浪海産」
しょっつる―秋田県男鹿半島「諸井醸造」〔ほか〕
著者等紹介
平松洋子[ヒラマツヨウコ]
エッセイスト。東京女子大学文理学部社会学科卒業。食文化と暮らし、文芸と作家をテーマに幅広く執筆している。著書に『買えない味』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『野蛮な読書』(講談社エッセイ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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アキ
64
街のケーキ屋さんから駅弁をつくるおばあちゃん、かづの牛、しょっつる、くしこ(こんな食べ物知りませんでした)、凍みこんにゃくといった渋いところまで15食すべてこだわりがあるストーリーばかり。どこも行きたくなる。東京淡路町「近江屋洋菓子店」ピッツア中目黒「聖林館」江戸前鮨人形町「㐂寿司」鰻蒲焼き・芝麻布「五代目野田岩」は行ってみたいけど、他は遠くてちょっと無理かな。どんな食べ物にも作り手というひとがいる。この本に出てくるすべてのその物語や思いを知ると応援したくなる。平松さんに地元の店を取材しに来てくれないかな2019/12/23
よこたん
43
“いいものを作って満足しているだけでは意味がない。どう売るか、良さを伝えるか”“だいじなのは、やっぱり味。今年も来年も、いつもおいしいねって喜んでもらいたい” おいしいものには、やはり理由がある。試行錯誤の末に見出した、素材と相対しての足し算引き算。苦労はあっても、好きだから出来る仕事っていいな。憧れの「栃尾のあぶらげ」は揚げたてをいつか必ずやという思いが更に強くなった。「マルセイバターサンド」に込められた志が心に残る。野田岩の鰻蒲焼きにうっとり。けど、今は素朴な凍みこんにゃくをぜひとも食べてみたい。 2018/06/20
ユウユウ
40
食べ物に向かう姿勢に尊さを覚えました。新年からありがとうございますという気持ちです。2018/01/01
ユメ
39
全国の「すごい味」を巡る平松さんの丹念な取材は、私に「食べ物とは命である」という当たり前でありながら忘れてしまいがちな感慨を呼び起こさせた。命がかつて打っていた鼓動が届き、心の柔らかいところをふるりと動かす。そして、その命を育み、捌き、料る人がいてこその「すごい味」である。伝統の味を漫然と引き継ぐだけでは、時代の荒波に飲みこまれ、消えていってしまう。長く愛される味の背景には、それを守る人々の日々の努力の賜物である進化があるのだ。私もぼんやりと消費するのではなく、命と対話をしながら食事をする人でありたい。2017/12/17
野のこ
36
「舌が刺激されて踊りだす」ピッツァ、「ただならぬ存在感」栃尾あぶらげ、「良質のバターを鍋に入れたときのかおり」鰻蒲焼き、「なかなかどうしてたっぷりだしがとれる」いわしの焼き干し、「ハタハタを愛するあまりハタハタサンバの唄まで作詞した社長」しょっつる(魚醤)、「頭のよい鴨はうまい」鴨治部鍋。。「理屈を超えて魔界へもっていかれる」くちこは義父の地元能登半島の珍味で、ローカルニュースで三角にペロンとくちこの干す姿がでると、冬が来た!と毎年しみじみします。三角にも角度が重要で浅めの腰ばきパンツみたいがいいらしい。2017/11/01