内容説明
鬼才にして奇人、世界にその名を知られた博物学者が、熊野の森で40年間をかけて描き続けた執念のライフワークから120枚を厳選。
目次
ドローイングとしての菌類図譜
図譜
南方熊楠の菌類研究と彩色図譜
くさびらは幾劫へたる宿対ぞ―熊楠ときのこ
熊楠の菌類図譜を読む
著者等紹介
萩原博光[ハギワラヒロミツ]
1945年、群馬県生まれ。北海道大学農学部卒業、農学博士。現在、独立行政法人国立科学博物館植物研究部研究主幹(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nina
27
熊楠がイギリスから帰国した翌年の1901年から亡くなる前年の1940年に作成されたキノコ類を主とする菌類図譜119点が収録されている。粘菌類の研究で知られている熊楠だが菌類についてもその収集と図譜作成にかなりの時間を費やし、田辺の自宅周辺や那智、高野山などを中心に精力的に採取を行った。家族やお手伝いさんはもとよりご近所さんまでも巻き込んで大々的に集めまくったようだ。彩色された様々な姿のキノコの図絵にびっしりと英文で記載がなされ乾燥標本まで貼り付けられた図譜からは熱狂的な愛情のようなものが伝わってくる。2014/07/31
takeapple
20
美しい、きのこの絵が満載。南方熊楠という人の多才ぶりをほうふつとさせる。地元の図書館でみた、理化学書100に入っていた。上野の科学博物館でやっている南方熊楠展、見に行きたいなあ。2018/02/10
gururi
19
圧倒されました。英字には訳がないので、詳細は分かりませんが、ページ下のコメントだけでも楽しめました。家族や子どものことやお手伝いさん、協力者たち。。。想像が膨らみます。2023/09/25
roughfractus02
9
著者のフィールドノートとも呼べる図譜に日時や場所の日本語解説を付した本書だが、著者の英語コメントは邦訳されていない。紙面に縦横に敷き詰めたれたその筆跡を辿ると、植物学の専門分野から見れば分類が曖昧だったり不足している項目も多いようだ。一方、確認のために食べたのか、味等の記述があるのが面白い。キノコと粘菌のカラースケッチの脇に干からびた実物を包んだらしき袋も付してある。菌類を観察し顕微鏡を覗く時間は、ある種の瞑想状態にあったのだろう。そこには生の中に死がありその逆でもある、静と動が共にある宇宙が見えそうだ。2022/11/17
ののはな
6
ミュージアムショップ併設の書店棚で逢った1冊。息子が店内で目が合っちゃったという、菌類とりわけ菌の図版スケッチと細かく描き込まれた英文?説明が圧巻。ただし一般読者向け。2011/07/10