出版社内容情報
死ぬ覚悟も、誰かを傷つける恐怖も呑み込んで、走る。ひたすらに自分と向き合うために。シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部!
決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける――。命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。
内容説明
1年間限定で自転車部に所属することになった正樹。走る喜びと恐怖の間で葛藤しながらも、レースに挑んでいく。走ることが祈ることであるかのように…。「サクリファイス」シリーズ最新長編、新たな舞台は大学自転車部。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で、第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。複雑な人間心理を細やかにすくい取り、鮮やかに描き出す筆致に定評がある。2008年には『サクリファイス』で、第10回大藪春彦賞を受賞、同作は第5回本屋大賞第二位にも選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
619
シリーズ第4弾はアマチュアの学生チームを描く。主人公の岸田正樹は大学に入学したばかりだが、ふとしたことが契機となって自転車部に所属することになる。彼のこれまでのスポーツ歴は柔道のみであり、およそ畑違いだ。1年上級の櫻井、2年上級で部長の村上らとの接点を深めながら、正樹は自転車乗りの才能を開花させてゆく、といったお話。正樹にも、櫻井にも消し難い過去があるのだが、その超克がメインプロットの背景にはある。ただ、アマチュアとしての新鮮さはあるものの、逆に言えば甘さもあり、小説もまたその宿痾を逃れられなかった。 2024/07/05
takaC
606
約一年がかりで連載を読んでたのと比べると格段に面白く楽しめた。オッジの赤城が登場してたなんて記憶してすらいなかったし。そろそろ続編登場の時期でしょうか。当然予定されているのですよね?2013/08/05
射手座の天使あきちゃん
552
風を切り裂くレースの臨場感・選手たちの駆け引きや孤独な葛藤など、近藤さんの描くロードレースの世界が大好きです 自転車レース界に新たなエース誕生を予感させる今回の作品 チーム・オッジがこの先どう絡むのか? 早く続きが読みたいですぅ!! (^_^)V2013/10/27
zero1
538
人が危険を背負うから競技は尊い。そこには死が待ち構えている。シリーズ第四弾はチカでなく大学自転車部を舞台に喪失と再生を描く。フランス帰りのシニカルな正樹は経験無しでロードレースを始める。ヤンキーだがエースの櫻井や正樹には過去に秘密が。急成長した正樹だが、あるきっかけで気持ちが折れる。嫉妬と挫折が渦巻く。230ページになってある人物が登場。今後、どのように本編とつながるのか?題名は生物学用語で、人と人との出会いで何かが生まれ、気持ちが交差することを意味している。大学編も続くらしい。次は「スティグマータ」2019/04/05
しゅわ
446
【図書館】シリーズ四作目は、大学の弱小自転車部に1年間限定で所属することになった正樹が主人公。いままでのようにプロの高度な駆け引きやレースの組み立ては無かったけど、自転車素人な彼視点ですすむので、ジャージのことや自転車の仕組みとかわかりやすかったです。彼らが抱えるものの大きさに胸が痛くなりましたが、覚悟や恐怖を呑み込み、ただひたすら走ることへの魅力に取り付かれてゆく正樹と一緒に走っているような爽快感はあいかわらずで、ページを繰る手が止まらず一気読みでした。オッジの赤城さん登場にテンションがあがりました2013/07/23