「星座」になった人―芥川龍之介次男・多加志の青春

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103049715
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

父親譲りの文才を最も嘱望されながらも、弱冠二十二歳にしてビルマで戦死した多加志。新発見の小説、詩によって、その煌めく才能が、いま、明らかに!

内容説明

芥川龍之介には三人の息子がいた。長男・比呂志は俳優として、三男・也寸志は作曲家として名高い。だが次男の多加志は…おそらくほとんどの人が知らない。三兄弟の真ん中に生まれた多加志は、幼い頃身体が丈夫ではなく、内気な面もあった。そんな彼が、秘めた決意と共に加わった同人誌が「星座」である。詩や翻訳、小説を発表すると共に、装幀や挿画なども手がけ、短いながらも才能の片鱗を煌めかせた日々であった。しかし、運命は、終戦間際、二十一歳の彼を一兵卒として、激戦の地ビルマへと送る。多加志がヤメセンの戦いに散ったその日、田端の芥川家も空襲で全焼した…。戦後六十年、多加志が名付け親である幻の肉筆同人誌「星座」の行方を求め、著者の東奔西走が始まる―。たった一編だけ遺された小説「四人」に込められた父・龍之介への誓いとは、果たして何だったか。

目次

第1章 長い道のり
第2章 静かな文学少年
第3章 「星座」の時代
第4章 学徒出陣
第5章 物書きになりたかった
第6章 小説「四人」(芥川多加志作)、および追悼文

著者等紹介

天満ふさこ[テンマフサコ]
広島女学院大学文学部卒業。専門は、バレエ評論。1994年、第四回日本ダンス評論賞佳作入賞。1995年、第五回日本ダンス評論賞佳作入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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わんつーろっく

13
岸田衿子さんのエッセイから、芥川龍之介の三人の息子たちを知りたくなって手に取る。長男の比呂志は俳優として、三男の也寸志は作曲家として有名だが、次男の多加志についてはその存在すら知らなかった。幼い頃身体が丈夫ではなく、内気な少年だった多加志が同人誌「星座」に小説を発表するも、21歳で学徒出陣し激戦の地ビルマで短い生涯を終える。少ない遺稿や写真を丁寧に追い、浮かび上がる多加志の青春。フランス語が話せる一兵卒。父の思想が軍上層部に影響したか、朝鮮京城での最後の写真が物悲しい。2023/09/26

芳樹

3
著者のエゴイスティックな言動が戴けない。まるで恋する乙女の暴走のようで気持ちが悪い。 「星座」は多加志氏だけの同人誌ではないのに一人で「もう後が無い」等と烏滸がましいと思う。 戦死と言うセンシティブな事柄に対しても赤の他人である著者は「導き」だと踏み込んだのも閉口した。 果たして本当に多加志氏や関係者の方々は望み、導いたのだろうかと心に引っ掛かったまま読了した。 著者の主観は省き、もっと参考資料等を中心に構成するべきだったのでは無いだろうか。 読者は独り善がりな主観や追体験は求めていないと思うのだが。2017/11/12

とっとって

2
父・芥川龍之介の才能を受継いだ次男・多加志は文学を志すが、戦争によって若くして亡くなる。作者は紆余曲折を経ながら、多加志が学生時代に執筆した同人誌『星座』の中の小説や詩に辿り着く。その内容はまるで自分の運命を意識していたかのようだ。読み進めて行くうちに悲しみと感動で胸が震えそうになる。きら星のように輝く若き命を奪った戦争とは・・・・考えさせられます。2011/11/19

Akio Kudo

1
★★★ 父親と同じように文学者になりたかったが、それを戦争に奪われる。文章は見事で読みやすい2018/05/06

Shibata Keiko

1
芥川龍之介の次男、多加志さん…子供の頃こんなエピソードがありました。 普通、風呂敷は、表を外にして物を包むのですが、多加志さんは表を中にし裏を外にして包んだそうです。龍之介が、「それは違うよ、裏が表に出ているね」と注意すると、「お父さん違うよ、表を中にして包むと、ほどいて中をあけた時に、きれいだろ」って言ったそうです。龍之介に、「この子は、我々夫婦には育てきれないかもしれないよ」って言わしめた多加志さん…早逝が傷まれます…2015/06/07

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