内容説明
少年時代に絵を志し、果せぬままフランスへ赴き、やがて小説を書き初めて今日に至る魂の偏歴。川端康成文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
24
☆☆☆★ 小川国夫の地元、藤枝近隣を舞台とし、柚木浩という作家と等身大の主人公の目線で、周辺人物との関わり合いを、透徹した文体で綴った短編集。初期の「生のさなかに」「アポロンの島」といった短編集に比べると、より研ぎ澄まされて、玄人好みする作風となっており、なかなかに難解。2022/03/01
しゅんしゅん
11
川端康成文学賞作。12編の短編集。連作形式のシリーズものに見えるが、出版を機に主人公の名前を統一したもので、元々は繋がりのある物語ではなかったらしい。私小説の毛色が濃いものが集まったために改題などもされている。生まれ故郷の静岡の自然や神と人間の関わりを抽象的、内省的なイメージで紡いでいく。まだ内向の世代の作家の作品に多く触れていないが、内的世界を描いた筆致はなかなか捉え所がなくて、作者の想像を自分の頭で結晶化するのがむずかしい。小説の中でも絵を描くシーンが幾たびか出てくるが、色彩を重ねるような小説だった。2021/11/16
getaya
0
☆☆☆2016/04/29
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