内容説明
互いの人生が一度きりのものであることを思うと、拒めなかった―。恋人殿村への思いを激しく抱きつつ、光子はその人生に殿村と同様に深く匕首を刺し込んで来る文学作品の主人公を辿る旅へと立つ。作品は梅崎春生の「幻化」。鹿児島から、熊本、阿蘇へ。火の国を歩く光子が見たものは…。恋愛と文学の炎を重ねる長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
八百
17
小川洋子さんの短篇箱から気になる作家を図書館からピックアップ!日和さん2冊ゲットの1冊目。期待に胸膨らませページを捲るも「梅崎春生?えっ、誰?」とあまりのマニアックさに初手から参りましたの惨敗色濃厚。だが意外にもすんなりと読み進めることが出来たのは先日駆け足で旅した鹿児島が舞台と言うこともあるのだが綴られる言葉がなんとも新鮮で紀行文として飽きさせない点か。そうして迎えるラストの1ページはこれまでの印象をガラリと変えてしまう、決意の旅…冒頭のセリフが活きる憎い演出。詩人ならではの言葉の魔術に納得の一冊2014/08/20
橘
8
梅崎春生「幻化」の道筋を辿る旅。鹿児島と熊本、土地勘があったり無かったりでした。2020/11/05