内容説明
昭和初期、駆け落ち先から母が両親に送った訣別の手紙。母の亡き後、初めて読み、私も母と同じ回廊を歩んできたのかもしれないと思う。20歳での結婚と破局、70年代には狸穴の伝説の店“キャンティ”に入り浸り、その後、パリで20年特派員として暮らした。ジャーナリズム、駐日大使館、小説、映画、ファッション界のセレブリティと華やかな交遊関係を持った…。愛と孤独に彩られた、母と私の回想録。
目次
のっぺとラケット
パパ様へ
姉の秘密
父のソフト帽
紫陽花と蜥蜴
海辺の町
カルメラの味
よもぎの香り
あの頃の六本木
結婚、そしてパリへ
ショロンの夜
宣教師の家
いちご
白い蛇
鱗の鏡
オデオン広場で
著者等紹介
村上香住子[ムラカミカスミコ]
20歳のとき、フランス人の学者と結婚し、渡仏。2年のフランス生活の後、ベトナム戦争下のサイゴンで暮らし、帰国。1974年より、フランス語通訳やボリス・ヴィアン、ミシェル・トゥルニエなどの翻訳紹介を手がける。1985年、マガジンハウスのパリ支局長として、ふたたびフランスに渡り、以後、20年にわたり、カルチャーやファッションを中心に取材・執筆し、ルイ・マルやル・クレジオ、ロベール・ドワノーらと親交を結ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まど
6
自由に憧れ、波乱の愛に生きた母親の人生をたどりながら、自らの出会いと別れについてもつづった回想録。お母さんは著者に愚痴めいたことをいわず、詳細な事実や気持ちを語っていないためか、読み終わったあといろんな想像が広がる。著者の恋愛や交友録が華やかでかっこいい。あっさり表面を書いた印象。もっと著者の赤裸々な恋愛を読んでみたかった。2010/07/29
あつひめ
2
香住子さんの気持ちを整理する淡々とした語り口の作品。自由恋愛が難しかった母親の時代と自由に羽ばたくようになった自分の時代を懐かしむように・・・。波乱万丈の人生を生きたお母さんの写真が印象的。2010/01/13
こぶた
2
★★★★★ タイトルと表紙から、軽い内容を想像していたが、違った。静かに語られているが、お母さんの人生というか、その潔さがすごいと想った。2009/07/02
noekure
0
上質な回想録。母、そして自らの生き抜いた様が極めて質の良い文章で書き綴られている。2017/01/20