内容説明
一冊の「本のかたち」ができるまで―編集狂・松田哲夫が案内する、めくるめく本作りの迷宮!装幀から、製本、函、紙、印刷インキまで。ベテラン編集者が、現場で体感し究めた本作りの奥義とは?緻密にしてダイナミックなイラスト満載、卓越したドキュメント。
目次
ぼくは「本」に恋してる
思い出深い本を解体してみる
束見本を自分の手で作った
中本作りの大切さを痛感する
均して寝かしていい本作る
紙の反りを活かす函作りの知恵
紙を抄く―巨大製紙工場見学記
装幀用の紙ができるまで
色鮮やかなインキの世界を知る
インキのことをもっと知りたい
印刷後の表面加工にはこんな方法が
「印刷」から本作りを見直す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
59
「装丁から、紙やインキの開発、製本まで」の工程の想像を絶する複雑さと繊細さが( 内澤旬子の手になる工程のイラストが精細!)、手にする本の重さとなって伝わってきて、こんな労苦と工夫があったのかと読むのが億劫になる…気軽には読めなくなるんじゃないかと心配したりして。やはり、吾輩のような門外漢は本を手にする喜びを単純に素直に味わうべきかと思った。とにかく、吾輩は今更電子本には頼らない…はずだ。 2025/08/17
クリママ
48
本、特にハードカバーが好きだ。だから「本を贈る」「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」を読んで、少しは知っている気になっていた。こちらは筑摩書房松田氏が季刊誌の連載をまとめたもの。どうしても中の文章に目が行ってしまうが、本自体について、造本屋さん、紙屋さん、印刷屋さん、インク屋さん等、本作りにかかわる職人さんたちを取材し、詳細に書かれている。内澤氏のイラストとも相まって本が作られていく様子がわかるが、専門用語もあり、どれほど理解できたか。が、何せすごい。そんな本を手に取って読むことができる幸せに気づく。2025/09/06
sibarin♪
31
本が出来上がるまでの過程を著者が体験し、その作業の流れを一冊にまとめたマニアックな?(笑)本。 紙の選び方・印刷の仕方・インキの種類等 へーって思う事がこと細かくスケッチ風の絵も添えて載せてある。経験を積んだ職人さんの技にも感心した。一冊の本を自分の手で解体して再生する事でどのように出来上がって行くのかよくわかるし愛着も湧くと思うので自分の好きな本をルリユールしてみたい。製本工場見学会ってないのかな(笑)2017/01/30
阿部義彦
17
私にとってのミスターちくま書房、松田哲夫さんが過去に季刊誌『本とコンピュータ』に連載していた、本に関するドキュメント見学記です。古本屋で購入。主に造本、製紙、印刷の3つの工程に密着取材、工場内を専門家に質問しながら練り歩きます。特に本の造りに関しては、函入れや糊付けには細やかな手作業のコツが生きてます。製紙にかんしては、私が中学の頃、文春文庫だけやけに向こうが透けて見えそうでしかも茶色い安っぽい紙を一時使っていて嫌だった事が思い出されます。印刷は特色を使うにはコストが掛かるなど、知らない事ばかり。 2023/08/20
安国寺@灯れ松明の火
16
出版にまつわるエッセイかと思いきや、製本、製紙、インキ、印刷など、本に関わるありとあらゆる会社の見学レポートでした。まさに「本の世界をめぐるオデッセイ」(p.21)。本を入れる函を作る会社だけで1章使っているのも驚きです。内容は細かすぎて私にはさっぱりでしたが、本好きの方にはたまらないかもしれません。何より、日本人が持つ本へのこだわりや愛着の深さがひしひしと伝わってきます。同時に、本書で紹介されている技術の裏側にどれほどの試行錯誤があったのだろうかと想像すると、感慨深いものがあります。2012/05/23