内容説明
シェイクスピアが、原始人が、ローマ兵士が。天国も地獄も定員過剰になり、死人がおれたちの世界にあふれてきた。いま、やつらに実体はないが、そのうちに…。天地開闢以来の死人という死人が戻ってくる恐怖を描くマキャモンの「幽霊世界」。他にキャンベル、グラント等17人の精鋭が悪夢の世界を描きだすモダンホラー・アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
41
71編の幽霊譚からなるモダン・ホラー・アンソロジー。実在しないはずの本が見つかったという体の序文も秀逸。モダン・ホラーと古典幽霊譚の違いとはなんなのだろうか?乱暴なようだが、精々新規な商品名やチェーン店の名前、新しい車、テレビ番組、そういうものが出てくるか来ないかなのではないのだろうか?本書を読んで、やっぱり人の心は変わらないとも思えるし、昔ながらの恐怖は現在でも変わらず私たちを震え上がらせるとも思う。あ、表題作は古き良き幽霊を使いながらもすごく新しいのじゃないかと思った。2023/10/11
Kouro-hou
27
1989年の新潮ホラーアンソロジーシリーズの1冊。17篇収録だが別にクーンツによるエッセイ的後書きも。テーマは幽霊、なのでALL幽霊話だが何でも有りな切り口豊富の場外乱闘気味で飽きないw 中でも「刀鍛冶の双眸」はガチな中世日本ネタ。全く違和感なく日本人作者かと思ったら違った。アイエエエ? この本では長め中篇シンクレア「帰郷」の主人公の壊滅的な対人スキルの低さが雰囲気も希望も全てぶっ壊す無情さは泣けるw コミカルに始まるも俺たちの戦いはこれからだ!未完!な勢いのマキャモン「幽霊世界」はやはり上手い。2020/07/23
やんも
4
和風の怨念ものをイメージすると戸惑うかもしれない。序文にあるように既成の怪物にはない、作者の発想の自由さを楽しむアンソロジー。どの作品も恐い、というよりなにか物悲しい。日本ならイイ話で終わるところをひねって、生身の人間と幽霊の共感断絶を描く。あ、実話系怪談が好きな人は、ページを開いたりしない方がよいだろう。2012/09/27
A・K
1
クーンツのエッセイが面白い。怪奇物は空想や幻想に入るが、決して非現実ではなく、現実の一面を表している。他の文学ジャンルが取り扱わないこの世の現実は歴然と存在している。怪奇は臭いものに蓋を映す鏡か。2014/09/08
負け猫
0
やっと読み終わった〜って感じ。これと言っておもしろい話がなかったかも。おすすめはしない。2010/07/14