新潮文庫 裁きのメス

ムケルジ，リツ【著】〈Ｍｕｋｅｒｊｉ，Ｒｉｔｕ〉/小西 敦子【訳】

新潮社（2025/07発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 464p／高さ 16cm
• 商品コード 9784102409619
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

南北戦争後間もないフィラデルフィア。解剖学の教授であるリディアの元に、女性の水死体が運ばれてきた。警察は、リディアの友人で患者のアンナだといい自殺を仄めかした。だが、疑問を抱いたリディアは捜査にのりだす。謎めいた手帳、身分違いの恋人、不可解な火災。そして明らかになるアンナの秘密。暴力がリディアに迫った時、彼女が導き出した正解とは。医師作家による傑作ミステリー。


【目次】

内容説明

南北戦争後間もないフィラデルフィア。解剖のメスをふるうリディアの元に、女性の水死体が運ばれてきた。警察は、リディアの友人で患者のアンナによる自殺とみていた。しかし、疑問を抱いたリディアは捜査にのりだす。謎めいた手帳、身分違いの恋人、不可解な火災。そして明らかになるアンナの秘密。暴力がリディアに迫った時、彼女が導き出した正解とは。医師作家による傑作ミステリー。

著者等紹介

ムケルジ，リツ［ムケルジ，リツ］ ［Ｍｕｋｅｒｊｉ，Ｒｉｔｕ］
インド生れ、サンフランシスコ育ち。コロンビア大学で歴史学の学士号を、フィラデルフィアのトーマス・ジェファーソン大学のシドニー・キンメル医科大学で医学の学位を取得した。カリフォルニア大学デーヴィス校で研修を終えたのち、１５年間、開業内科医として勤務。２０２４年、本書Ｍｕｒｄｅｒ　ｂｙ　Ｄｅｇｒｅｅｓがエドガー賞新人賞最終候補となる。カリフォルニア州在住

小西敦子［コニシアツコ］
東京女子大学哲学科卒業。出版社勤務後、翻訳家に（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[タツ フカガワ]

女性医師で女子医学校の教師でもあるリディアの患者で、彼女の無料講義を熱心に聞くアンナが行方不明となってから2週間後、川から女性の水死体が発見される。上流の川岸にアンナの持ち物がまとめられていたことから自殺とみられたが、日ごろの彼女を知るリディアには信じられなかった。1875年のフィラデルフィアを舞台に。女性には医師としての適性がないという偏見・女性蔑視の風潮が強いなか、リディアが難事件に挑む医療ミステリー。犯人探しの興奮はイマイチでしたが、司法解剖を含め医療場面は面白かった。

2025/10/20

[本の蟲]

女子教育や女性医師への偏見が激しい、1870年代米国が舞台。女性医師リディアの元に、生徒、患者、友人でもあるアンナの水死体が運ばれた。リディアはアンナの自殺は信じられず、捜査に協力することに…。ミステリ部分は発覚油断暗転対決と100回は見た展開。ただ困窮の中からキャリアを築き、後進育成に努めるリディア。貧しいメイドだが学業への熱意に燃えるアンナ。裕福な家に嫁ぎ、教育慈善事業に励む夫人等、様々な立場の女性たち。素人目には現代との違いもわからない当時の最新医学の描写が良かった。この頃日本は明治ヒト桁。ぐぬぬ

2025/09/21

[coldsurgeon]

19世紀後半のフィラデルフィアを舞台に、女子医学校で教職として働く女性医師が、死体遺棄事件の真相を解明するミステリー。作者自身が女性医師であるので、当時の女性蔑視が当たり前のアメリカ社会に対峙する主人公の姿勢が、気持ちい。真相にたどり着く道は長かったが、医師として患者を診察し、臨床診断に至る道筋を辿るような、物語の展開が面白い。

2025/10/13

[宵闇やもり]

医師による作品である長所がふんだんに活かされた良書だった。死体に見られるちょっとした違和感や解剖時の詳細さなんかはプロの目線を感じられた。また、本作の舞台である1875年当時のフィラデルフィアの町の喧騒や、女性医師に対する世間の見方も知ることができて興味深かった！

2025/09/22

[やー]

1870年代、まだ女性医師が軽んじられていた世界で、貧困から這い上がり、学問を究め身を立てているたくましい女性が主人公。女子医学校が珍しい時代など時代背景もそうだが、当時の世相や雰囲気も細やかに描かれている。出てくる女性たちも主人公同様賢く強い。細やかな分ストーリーは荒くてなかなか進まないが、登場人物たちが好感がもてて、けっこうよい作品だった。

2025/08/21