出版社内容情報
第二次大戦の残影色濃い1954年。フィリップは、考古学者の兄がアムステルダムの運河で身を投げたとの報を受ける。死因に不審を抱き、兄の謎めいた友人と恋人らしき女性の行方を追ってカプリ島へと向かったが――。善悪のモラル、恋愛、サスペンスと、さまざまな要素を孕み展開する馥郁たる人間ドラマ。第1回CWA最優秀長篇賞に輝き、戦後欧米ミステリーの可能性を切り拓いた記念碑的作品。
内容説明
第二次大戦の残影色濃い1954年。フィリップは、考古学者の兄がアムステルダムの運河で身を投げたとの報を受ける。死因に不審を抱き、兄の謎めいた友人と恋人らしき女性の行方を追ってカプリ島へと向かったが―。善悪のモラル、恋愛、サスペンスと、さまざまな要素を孕み展開する馥郁たる人間ドラマ。第1回CWA最優秀長篇賞に輝き、戦後欧米ミステリーの可能性を切り拓いた記念碑的作品。
著者等紹介
グレアム,ウィンストン[グレアム,ウィンストン] [Graham,Winston]
1908‐2003。マンチェスター生れ。1934年にThe House with the Stained‐Glass Windowsでデビュー。ミステリー、歴史小説、ノンフィクション、戯曲と作品多数
三角和代[ミスミカズヨ]
1965年、福岡県生れ。西南学院大学文学部外国語学科卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
64
新刊コーナーで手にする・・期待せず読み始めての既読感☆学生時代読んだような・・英国の香り高い、毅然とした文体、交わされる会話。初めて耳にしたCWA賞第一回受賞作。私が生まれた頃の刊行・・なぜ今に?の謎を傍らに読みふける。WW2終決より10年後の英国。チャーチルは退場し、世界強大国は次なる権力絵図を書くべく虎視眈々・・そんな1954年。飾り窓で有名なオランダの運河に浮かんだ兄の死体~自殺❔他殺?動き始める弟が1人称で語って行く。考古学者の兄に貴族・画商・混乱するほどの多種多様の国籍の人間が交雑する。2023/03/02
ナミのママ
63
新潮文庫の海外名作発掘シリーズ・1955年の作品。3人兄弟末っ子のフィリップは次男のグレヴィルがアムステルダムの運河に身投げしたと知らされる。自殺に納得できないフィリップは事件の手がかりを追ってアムステルダムからイタリアへ。行く先々で増える人物と膨らんでいく話に苦戦。ミステリーは面白く、自然描写も綺麗だが、どうも会話がまどろっこしい。なかなか進展しない恋愛も時代のせいかな。哲学的な部分が多く感じた。今の私には内容盛りだくさんの作品を読み取るチカラはないようだ。 【第1回CWA最優秀長篇賞】受賞2023/03/19
巨峰
50
この小説の主人公は、読み進めるに従ってブラコンの自分本位の甘ったれた男と思えてくるのだが如何でしょう?女性が好きになる要素あるかなあ?大戦後のオランダ、そして、イタリアの風光明媚な島を舞台にした小説。イタリアは敗戦国なのにあまりそんな雰囲気はない。まあ、荒れ果てた村や貧困があったりはするのだが…。と書きましたが、面白い部分も多かったので楽しい読書ではありました。2024/02/11
優希
47
第1回CWA最優秀長編賞受賞作。善悪、恋愛、サスペンスといった様々な要素を含んで展開する物語でした。複雑な人間ドラマと言っても良いでしょう。文学の新たな可能性を切り開いた作品だと思います。2023/12/29
Shun
40
ゴールド・ダガー賞の名で知られる文学賞の原点となった栄えある第1回受賞作品。書かれたのが第二次大戦の戦後色濃い時代、主人公フィリップの尊敬する兄が考古学研究の途上でアムステルダムの運河に身を投げたとの知らせを受ける。兄の人柄を知るフィリップはその死因に疑いを持ち、調査の為に職場のあるカリフォルニアからヨーロッパへと飛ぶ。現地で兄の痕跡を調べ様々な人々と交流し、フィリップは事件をあらゆる方面から知ることとなっていく。ミステリとしてはトリックよりも人間関係や哲学といった人物描写に力を入れたサスペンス小説です。2023/02/07