感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
376
アウシュビッツでソフィーが迫られた選択は、まさに過酷の極みであった。それを選択した時(それは決断ではなかっただろう)、ソフィーは自己崩壊を起こしただろうか。戦後にアメリカに逃れてからの彼女は、それまでの反動として生と性の奔流の中に身を置いたようにも見えるし、また破滅を知りながらそこへ傾斜していったようにも見える。スタイロンが主人公にアウシュビッツのポーランド人を選んだことは、被害者でありながら加害者にもならざるを得なかったという、引き裂かれた人格を描き出すためであっただろう。そして、そのメタファーが⇒2019/06/23
遥かなる想い
238
重い物語だった。人は生き残るために、 どこまでできるのか..そして犯した罪を 背負ってどう生きるのか? 著者は この残酷で哀しい行為を敢えて 魅力的で 美しいソフィーに行わせる.. 性の描写が多すぎるのは意図的なのだろうか.. すがるようにネイサンとの愛に溺れる ソフィーが哀しい、そんな終わり方だった。2016/08/16
まふ
123
ソフィアとネイサンのカップルは何度も破局的な危機に陥る。ソフィアは関係を復活させつつ結婚の約束まで交わす。が、ネイサンは行方をくらます。ソフィーはスティンゴの実家の農場で暮らす決意を固め、アウシュヴィッツでの厳しい生存条件を選択してきた経験を語り、彼女の苦悩の本質が明らかとなる。ネイサンがまた戻り…。だが、最後で局面は大きく変わり、ソフィーとネイサンの現世での<腐れ縁>が明らかになる。まことに重いテーマを重く語り続けた内容であり、ずっしりと読みごたえと重度の疲労を感じた。G1000。2023/10/15
ケイ
120
ソフィーを苦しめ破壊したのは彼女のした選択だった。そんな選択をさせる者は人の命を弄ぶ悪魔であり、彼女は選択したことで二度と平穏な状態にいられることはなくなった。しかし、彼女がそのままポーランドにいて貧しい暮らしをしていたらここまで精神の均衡を失ったであろうか。彼女の絶望は、アメリカという自由な国に来たことで、否応なく狂い広がったのだという気がした。2016/05/16
扉のこちら側
91
2016年676冊め。【192-2/G1000】ソフィーの選択する結末は、割と早い段階で予測がついていたのだけれど、アウシュヴィッツでの選択については衝撃だった。そういうことが行われていたことは他の本でも読んでいたのに。占領時にドイツ語でアウシュヴィッツと呼ばれたオフィシエンチム市は、未だに観光客からその正しい名前で呼ばれることは少ないと現地で教えられた。人々も名前を奪われ、腕に施された数字で記号化され、消えていった。生き残った彼女がアメリカに渡ったことが悲劇を招いたのか? 続2016/09/02
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- 和書
- 人生の諸問題五十路越え