感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
ヴァージニア出身でデューク大学を卒業した、生粋の南部人スティンゴが語る物語。上巻では、ソフィーも、そしてその恋人であったネイサンも登場するが、主人公はあくまでも作家志望のスティンゴである。物語の舞台はニューヨークのブルックリン。時は1940年代の後半である。ネイサンは裕福なユダヤ人。ソフィーは非ユダヤのポーランド人。そして、物語が進むにつれてソフィーの秘められた過去がしだいに明らかになってゆく。上巻の終盤では緊張感は相当に高まり、そこにはナチスが濃密な影を落としていた。⇒2019/06/21
遥かなる想い
223
第二次世界大戦のポーランドとユダヤ人、 アウシュビッツを題材にした物語である。 僕が移り住んだ下宿で出会ったポーランド人 ソフィーと ユダヤ人ネイサンの間に感じる 不穏な関係.. 過去の狂気を忘れ去ろうとして 今を生きる人々.. 著者はピューリツァー賞受賞作家らしいが、 命題はここにあるのかもしれない.. ネイサンはなぜ執拗にソフィーを罵倒し、 ソフィーはそれにただ耐えるのか.. ソフィーがひたすら隠す真実は何なのか.. 全ての謎が下巻に繋がっていく、そんな展開だった。2016/08/15
まふ
111
作家志望の南部出身の青年スティンゴがブルックリンの大手出版社で原稿チェックの仕事につくも辞めて下宿も変わる。そこで出会ったポーランド出身の非ユダヤ系女性ソフィアとユダヤ青年ネイサンのカップル、二人の生い立ち、その思想歴史的事実関係などが延々と語られ止めどもない。物語は次第にナチスのアウシュヴィッツ収容所での出来事の回想につながってゆくが、前半は後半へのエネルギーをため込んでいるに違いない、と思わせる筆さばきで何だか疲れてしまった。後半は一挙に大展開となるのであろうか、期待したい。G1000。2023/10/14
ケイ
111
舞台は1947年のニューヨーク。物書きを目指す主人公は、南部出身。職を失い、お金がなく、ユダヤ人の多いアパートに落ち着き、精神不安定なソフィーと知り合い恋する。きれいだけれど精神不安定なソフィー。彼女はポーランドの知識階級の親を持ち、親は教授という職業のためにナチスに捕らわれ、殺される。彼女の父は反ユダヤであったが、ナチスにはそんなことは関係ない。ソフィーの語りにより、徐々に明らかになる彼女の収容生活の厳しさ。作者は、しきりに米南部とポーランドのユダヤ人を比較するが、そのあたりは理解しにくかった。2016/05/14
扉のこちら側
93
2016年675冊め。【192-1/G1000】読メ登録8000冊めに選んだ作品。ショアー/ホロコースト関連の書籍はいくつか読んできたが、小説作品は実は敬遠してきた。主人公は精神的に不安定なソフィーと知り合い、次第に彼女のその危うさがアウシュヴィッツでの経験に起因するものだと知る。著者が南部系作家ということで、ユダヤ人と黒人を関連付けて描きたいのだろうか。下巻へ。2016/09/02