新潮文庫<br> 偉大なるデスリフ

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新潮文庫
偉大なるデスリフ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 375p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784102330012
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

その頃、僕たちはまさしくフィッツジェラルドが創造した“神話”「グレート・ギャツビイ」の世界を実現していた。豪奢な邸宅、絢爛たるパーティ、美しき女性たちとの恋、そして涙…。主人公デスリフとモールトンの周りで夢はかない、やがて圧倒的な幻滅が訪れる。“今”を生きる世代から栄光と輝きの’20年代に贈るオマージュを、魅力的な文体で翻訳したお酒落で哀しい恋愛小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

116
すごく素敵に裏切られた。後半の展開が、もう面白いじゃないの! タイトルから容易に想像出来る偉大なるギャツビー。前半はフィッツジェラルドへのオマージュが散りばめられ、フィッツジェラルドの他の作品【夜はやさし】などや、彼の私生活まで知らならきゃ、理解も難しくなる展開。なのに、後半でのガラリとした変化。悲劇に陥るかと思いや…。村上春樹はギャツビーからのつながりで訳したのかもしれないが、これは春樹らしさがどういう意味でも少なくて、楽しかった。2020/04/15

ムッネニーク

65
156冊目『偉大なるデスリフ』(C•D・B•ブライアン 著、村上春樹 訳、1990年8月、新潮社) 米国での刊行は1970年。タイトルからも判る通り『グレート・ギャツビー』(1925)のオマージュに満ちた作品である。 それぞれ別のキャラクターを主人公に据えた2部構成の小説なのだが、訳者もあとがきで述べている通り、それが上手く作用しておらず2つの中編小説をただくっ付けただけのように見えてしまう。 夫婦の不和の描き込みは中々に強烈。 〈「最初にアリスと会った夜、彼女は僕がギャツビイに似てるって言ったよ」〉2024/12/21

akubi

5
アルフレッドの書ではそのナルシスト的一人称に少し滅入ってしまったけれど、LSDでとんだハワイのサンライズはとても美しかった。愛おしいふたりの兄弟。それぞれの書で語られるお互いのこと。うんざりするアリスに関しては、病院連れていってあげてよと思うし、華やかなパーティーの後の虚しさとか、生活してゆく世知辛さだとか。 探し物はみつかったか。って問われても、きっとずっと、答えられない。なんだか哀しくなっちゃった。けれど、ロマンチックな気分にさせられたのはほんと。追い求める幻影(ノスタルジア)があるのなら、まだまし。2019/08/17

練りようかん

4
「アルフレッドの書」は『ギャツビー』よりも親しみやすい文体だ。今あのシーンに似ていた!と言い合い、フィッツジェラルドの時代を振り返るシーンは日本でバブルの時を思い返すのに似ていて距離感を掴みやすい。だが「ジョージ~の書」に入ると文体は一段硬くテンションは一段下がる。恋に恋して脳内のイメージだけが独り歩きし現実とのギャップをもてあます。“『卒業』のあの二人はその後幸せになったのか問題”を思い出す。『ギャツビー』を好きだからこそ見えてしまったもう一つのラスト。文学的にどうかわからないが皮肉にも面白かった。2019/03/09

flat

3
翻訳者の村上春樹の指摘している通り欠点を比較的容易に指摘出来る作品であり、作品序盤だけならグレートギャッツビーの劣化コピーに過ぎず村上春樹がこんな作品を翻訳したのは何故だろう?という疑問符しか頭に浮かばなかった。しかし中盤に入り煌びやかな青春期から現実と向き合う中年期へと移行を始めるにあたって多くの幻滅が描かれ始める。最後まで読んで気付くのはこの作品が栄光なる時代への訣別をテーマとした作品であったという事であり、この作品の価値もそこにある。2018/05/10

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