内容説明
女の誘いは決して断らないモテモテのテレビ記者、パトリック・ウォーリングフォード。インドでサーカスの取材中、ライオンに左手を食われてしまう。5年後、手の提供者が現れ、移植のチャンスに舞い上がるパトリック。だが、手の元持ち主の妻ドリスが「手の面会権」を主張し、会いに来て―。希代の色男と一世一代の決意を秘めた女の運命的な恋を描く、ロマンティック・コメディ。
著者等紹介
アーヴィング,ジョン[アーヴィング,ジョン][Irving,John]
1942年アメリカ、ニューハンプシャー州生れ。ニューハンプシャー大学を卒業後、レスリングのためにピッツバーグ大学に通学、その後ウィーン大学に留学、ヨーロッパをオートバイで放浪する。帰国後アイオワ大学創作科でヴォネガットの指導を受けた。後にはレイモンド・カーヴァーとともに後進の指導にあたる。’68年『熊を放つ』でデビュー、’78年『ガープの世界』を発表し世界的なベストセラーとなった。現代アメリカ文学の旗手と称される
小川高義[オガワタカヨシ]
1956年横浜生れ。東大大学院修士課程修了。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
75
【誕生日読書】「災害チャンネル」と呼ばれるテレビ局の報道記者パトリックは、あらゆることに対して真剣に考えることなく、適当にその場その場でお茶を濁して生きていたという男だ。そういった意味で、彼は自分らしい生き方を持たない、大人としての自覚をしっかり持たないまま大人になってしまった人物といえる。そんなパトリックに、次から次へと災難が降りかかってくる。パトリックの変化に注目しつつ、下巻へ。 2021/03/01
田中
28
アーヴィングならではの奇抜でコミカルな話が次から次と流れるが、笑うべきところで、笑いがとれないような、いつもよりはいくぶんパワー不足のような気もする。でも、一瞬で衝撃を受ける予断できない展開はやっぱり面白い。バツイチの外科医ゼイジャック博士の元妻からのいびられ方がユニークだ。離婚したパトリックはニュースキャスターで、取材中にライオンに左手を食いちぎられ世間から注目を浴びる。亡夫の腕をパトリックに移植のため提供した未亡人は、まともな人のようだけど行動は大胆だ。二人の奇妙な交流がどんな風になるのか気になる。 2022/10/08
トラキチ
19
小川高義訳。ずっと読みたいと思ってて積んでたアーヴィングですがようやく読み始めました。長めの長編で有名な人ですが文庫本で上下巻ですが500ページちょっとですので本作はそんなに長くありません。そのあおりを受けているのでしょう、通常は人生とは何かを語るいわば大河小説的な作品が得意とされているはずですが、本作は奇想天外なロマンティック・コメディーです。少しセレクトする作品をミスった気がしないでもないですが、上巻の後半あたりからかなり動きが出てきて面白くなってきました。→続く2013/10/05
ユーカ
15
アーヴィングというと自分の中では、大好きな「サイダーハウス・ルール」と、初めて彼の作品と出会い大きな衝撃を受けた「ガープの世界」の印象が強いですが、この作品のようなコミカルで軽やかなものも上手。ウディ・アレンの映画を観ている時の感じと似ています。やっぱり主人公は美男子で、読みはじめに“またかよ~”と放り投げたくなりましたが、著者が美形なのだからここは諦めよう(笑)。にしても、いい年齢をした大人が自分を変えたいと思い、変わっていく様子は、読んでいて胸が詰まるよう。この作家の力はやっぱり驚異的。下巻へ。2020/05/10
北風
10
第四の手? パトリックの右手、左手、そしてオットーの右手左手で四番目? なんだか妙な麻薬で予知夢を見て、意識が繋がり? 身体まで繋がっちゃった。優柔不断なイケメンは、女をあさっているようでいて、女の食い物になっている。気がつけばそんな感じで、死んだ夫の身代わりになり、辛い恋いに身を焦がす羽目になるわけだけれど、文章が淡々としているためか、夢やらなにやらがあって、手がきっかけで好きになったのかと運命も劇的よりも、予定調和な煮え切らなさ。しかし、上巻で終わっちゃったけど? 下巻で第四の手の正体がわかるのか?2016/04/26
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