内容説明
しがない安月給のサラリーマン、ダグラス・クウェールは火星への憧憬を拭いさることができず、架空の記憶を売る会社を訪ねた。クウェールの記憶の分析した担当の技術者は困惑の表情を浮かべた。すでに、クウェールの記憶中枢には火星での生活が刻みこまれていたのだ。さらに、その深層に隠された記憶を探ると…偽の記憶を扱った「追憶売ります」など12編収録のオリジナル短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
催涙雨
52
十二編うち二編既読。「想起装置」=過去ではなく未来に起こることの断片が現在の形質に影響を与えているという設定とその発想が面白い。「不屈の蛙」=気楽に読み流していいタイプの冗談めいた内容だが、目の付け所がやっぱり面白いなあ、と改めて思う。本作はこの手のものが比較的多く収録されている。「この卑しい地上に」=これが一番好き。今まで読んだなかでもかなり上位の作品と言っていい。どちらかというと純文とファンタジーの間に位置するような作品。わたしの一番好きな長編である火星のタイム・スリップが書かれた時期と前後するものだ2019/01/12
七色一味
30
読破。中学、高校の若かりし頃に読んだ記憶が…。多分、ハヤカワ文庫で?ん?どうだったかな?o○(。`・д・) ハッ!これも模造記憶ってやつか⁉️2020/07/18
ニミッツクラス
11
90年の税込480円の4刷(初版89年)。新潮文庫のディック3巻の2巻目。カバーはギーガーで、浅倉氏の編んだ12編を収録。表題作そのものは無いが「逃避シンドローム」やシュワ映画「トータル・リコール」の原作の「追憶売ります」が連想される。7編が初訳で、その内の「想起装置」「ミスター・コンピューター…」「逆まわりの世界」は現時点(2017.10)でも本書でしか読めない作品のはずだ。「不思議な…」と擬人化が面白い「欠陥ビーバー」は消化不良だが、「囚われの…」「逃避…」の降り出しに戻る的収束は強烈。★★★★☆☆2017/10/20
有沢翔治@文芸同人誌配布中
5
日本で独自に集められたフィリップ・K・ディックの短編集で、「追憶売ります」「不屈の蛙」「あんな日はごめんだ」「この卑しい地上に」「ぶざまなオルフェウス」「囚われのマーケット」など11編が収録されています。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51144927.html2010/12/04
記憶喪失した男
5
傑作短編集。「あんな目はごめんだ」は愉快なコメディSFの傑作。訳すのも難しかっただろうなあ。「不屈の蛙」はとても楽しめた。でこまでも、科学の追及をやめない科学者たちが愛おしい。